玉川学園・玉川大学
ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.
はじめまして。埼玉県比企郡川島町立出丸小学校6年 神山 大野
ホームページ見させて頂きました。いろいろ分かりましたが、もっと詳しいことが知りたいので、教えてください。
まず、世界中の米は、何種類あるんですか。それと、稲の種類は、「日本型」、「インド型」、「ジャワ型」のほかには、なにかありますか。
次に、ワイルドライスという種類の米を見たのですが、そこには、「かつて」とかいてあったのですが、今でもつくっている国はあるのですか。21世紀に、こしひかりみたいな、新しい種類の米が、日本にできると思いますか。
「21世紀の新品種」の中で見たのですが、酒造用品種の米と、普通の米(コシヒカリ等)はどう違うのですか。24日(月)に、総合的な学習の勉強をします。その時に、使いたい資料なので、お忙しいところ申し訳ありませんが、分かることがあったらお返事下さい。
ゲンボー先生より
質問を有難う.早速お答えします.
お米の種類は大きく分けて「インディカ」と「ジャポニカ」とに分かれます.それ以外に西アフリカの「グラベリマ」という特別な種類があります。ニジェール川流域で細々と栽培されているそうですが、インディカやジャポニカと遺伝子が異なり交配ができないくらい違う種類のお米だそうです.君たちの書いたジャワ型はジャポニカの亜種です.ジャワ型は現在のインドネシアではあまり作られていません.
そのかわりに作られている細長く粘り気が無いのがインディカ米で,インドネシアだけでなく世界のお米生産の主流になっています.
ピラフやチャーハン,それにパエリヤなんかは本来このお米で作ります.お米をとがずにそのまま炊くのが普通です.君たちはインドの人が片手で上手に食事をしているところを見たことがありますか?
カレーなんかは普通こうして手でこねたご飯に,カレー汁(サラサラしている)をつけて上手に食べます.これもインディカだから出来ることで,ジャポニカですとベタベタと手につきます.ピラフやチャーハンもいためたときにパラパラになって味が満遍なくお米につきます.
一方,ジャポニカは短くて丸っこく,粘り気があります.大昔の日本(縄文・弥生時代・古墳時代)にはインディカとジャポニカ,それにジャポニカの亜種である「赤米」,それにやはりジャポニカの亜種であるもち米が,ごちゃごちゃに作られていました.
そのなかから品種の選別が行われて,現在では「うるち米」と「もち米」の2種類に単純化されました.
ちなみに「赤米」はタイの奥地や中国の雲南というところで今も作られ,お祝いのときに食べられます.これがお赤飯のルーツですね.日本でも平安時代くらいまではこれを食べていたようです.今はアズキやササゲという豆で色をつけていますね.
現在,うるち米は「コシヒカリ」の系統が主流で日本のお米栽培は世界でも最も単純化された品種で行われていると言われています.
さてワイルドライスですが,これは稲科の植物に違いはありませんがお米ではありません.どちらかといえば「まこも」と言う植物に近いものです.水辺にはえていたその草の実を,アメリカインディアンが食べていたのが元になります.
ですから色も形も炊き上がりもお米とは異なります.先生はこれが好きで時々ストアに買いに行きます.ステーキの付け合せや,バターライスに混ぜるちょっとプチプチしておいしいです.ストアーといっても普通のスーパーではなく,ちょっと高級なお店でなければ置いてないみたいです.ワイルドライスは主にアメリカ合衆国とカナダで生産されています.
さて,酒造用のお米ですが「山田錦」という品種が有名ですね.これは食べてもちっともおいしくありません.普通のお米に比べてたんぱく質や脂質(油分)が少なく,中心部のでんぷん部分が多いのが特徴です.
お酒をつくる時はお米をものすごく研ぎます.お米の中心部のでんぷん質だけを取り出すためです.山田錦はこの部分がおおいのです.
コシヒカリに代わる品種ですが,当然できるはずです.品種の改良は味だけではなく病気に強いとか茎が倒れにくいとか.日照りに強いとか色々あるのです.
こうしている今も,様々な研究機関や会社,あるいは農家で品種の改良は行われているのです.
はじめまして。僕たちは、出丸小の6年生です。山田
今は、総合的な学習という勉強をしています。もし、よろしければ、1月24日までに、世界のお米の生産高を教えて下さい。
ゲンボー先生
山田君 メールを有難う.
世界で一番お米の生産量が多いのは中国で約2億トン,次がインドで1億2千万トン.三位がインドネシアで5千万トン.次にバングラディシュ,5位がベトナム.6位がタイです.ちなみに日本は10位で1.2千万トンです.
このように世界のお米の9割はアジアで作られています.アメリカは8百万トンで,世界中のお米を全て足すと1年間で約6億トンのお米が作られています.ただしこれは籾米の重さですから,食べられるところだけですと4億トンから5億トンの間というところでしょうか.
ところで中国で作られている多収量のお米は実は日本で作られたものです.今から10年以上も前に沖縄の大学の先生が品種を改良して作り上げたものです.
ところが当時の日本は米あまりの時代で,「そんなものとんでもない!」ということになり,ついにお目にかかることはありませんでした.そのときにそのお米の何粒かが中国とアメリカに渡りました.それぞれの国でそれを元に沢山収穫できるお米を作ったのです.これから地球の人口が爆発的に増えるわけですから,このお米はとても貴重です.アメリカの種会社はこれで大もうけできました.
お米ができるまで.または.米が収穫された後どうなるのか.出荷された後.米はどうなるのか.教えて下さい。
ゲンボー先生(この内容は平成16年4月1日に食糧法が改正される前のものです.新しい仕組みはこの説明の最後からリンクしています)
農家の作るお米は「計画流通米(けいかくりゅうつうまい)」と「計画外流通米(けいかくがいりゅうつうまい)」に分かれます.
つまり,「今年はこれだけ作りますよ」と決めて作るのが「計画流通米」で,政府が買い上げる「政府米(せいふまい)」と「自主流通米(じしゅりゅうつうまい)」の2種類があります.「自主流通米」は「自主流通米価格形成センター(じしゅりゅうつうまいかかくけいせいせんたー)」というところで,その年のお米出来具合や質によって値段を決めます.お米は業者によって集められ,そして「お米屋さん」「スーパー」などで売られます.この方法だと「おいしいお米」をつくる農家の収入がふえますね.
一方「政府米」は「備蓄(びちく)」といって,災害や戦争がおきたときのために,一定量を倉庫にためておくのと,やはり業者によって「お米屋さん」で売られます.おいしくないお米はこちらに回ることが多いようです.
さて.計画外流通米は農家が直接,消費者に売るお米です.おいしいお米は直通信販売で売り買いされます.こうしたお「米は特別うまい!」というのが売りだし文句になっています.新潟県魚沼郡の「こしひかり」.富山平野の「こしひかり」,八郎潟の「あきたこまち」などは有名ブランドで,にせものも多いため,消費者の中には高くても確実にホンモノを買うためにこうした方法で売り買いされます.
それ以外に「自分の家で食べる分」や「親戚に送る分」などがあります.
少し前まで,日本のお米は全て政府が買い上げ,値段も決めて販売していました.ところが,おいしいお米もまずいお米も同じ値段だったり.やる気のある農家に「沢山作ってはいけない」などの,チグハグな問題がおこりました.
しかも,日本のお米は,タイやアメリカなどの他の生産国のお米に比べて十倍以上も高かったため,値段も流通も自由にしようということになりました.
それでも,いきなり自由にすると少ない生産量の農家が生活に困るので,政府が買い上げる分というのを残しておいたのです.それで,こんなに複雑なんですね.
このことは,「お米の学習」「みんなの広場」「日本のお友達」3ページの北村君とのやり取りにくわしく書きましたので,それを見てください.
「改正食糧法」のページに行く.平成16年4月1日からお米の流通が大きくかわりました.必見のページです.