玉川学園・玉川大学
ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.
こめぬかでできるものをおしえてください
出来たら、米ぬかで作るせいひんのつくりかたもおしえてください。
差出人 山形市立金井小学校5年生 喬太(平成11年11月30日)
ゲンボー先生
喬太君 へ
米糠(こめぬか)に興味を持つなんてスゴイ!先生も色々調べました.もっとあるかもしれませんので知っているお年寄りにも聞いて見てください.それで新しいことや面白いことが発見できたら先生にも教えてください.君の発見もホームページにのせてあげますよ.
では・・・・
米糠はすごい!
米糠は江戸時代の人々(明治時代も)にとって,なくてはならないものでした.米糠は体を洗ったり,板の間や柱のワックスになったり,お漬物になくてはならないものでした.現代の科学では米糠に質の良い油分以外にポリフェノールという体の中の悪い油分(コレステロール)をとかす成分や,食べ物が悪くなるのをおさえる成分であるフェルラ酸が沢山含まれていることがわかってきました.そのほかにガンをおさえる成分や,太陽の光に含まれる紫外線を吸収する成分もあります.すごいですね・・・
さて,米糠はお米を白米にするときに出る,表面の皮や胚芽(はいが)と呼ばれる芽の部分,それにその皮を包んでいる皮が主な成分ですが,現代では「いらないもの」として,ほとんど捨てられています.もったいないですね.それではこれから米糠の使い道を説明しましょう.
1. 石鹸のかわりになる.
江戸時代のお風呂屋さんの絵を見るとだれも石鹸を使っていません.石鹸が一般の人に使われるようになるのは,明治時代も終わりの頃です.では,お風呂好きの日本人が体を何で洗っていたかというと「ぬか袋」という,布で作った袋に米糠を入れていたもので洗っていました.石鹸のような良いにおいはしませんが,からだの汚れや油分はじゅうぶんに取れました.それどころか,洗ったあと,ヒフがしっとりしてとてもいいかんじなりました.
2. 家のそうじに使われました.
日本の家は木で出来ていますね.いまならワックスでピカピカにするところですが,むかしの日本ではこれもぬか袋でみがいていました.ワックスだと表面だけきれいになりますが,歩いていたりさわるうちにどんどんはげてきます.ところが糠でみがくと糠の油が木にしみ込んでいき,とてもいい感じのかがやきがでます.木も長持ちします.ワックスよりとても力が必要ですが,その分長持ちするし,きれいになります.
3.お漬物にはなくてはなりません.
君はお漬物すきですか?先生は糠で漬けた大根やきゅうり,それにナスなんか大好きです.糠に野菜を漬けるとまず,長持ちします,つぎにおいしくなります.しかも糠が醗酵して乳酸菌(にゅうさんきん)というお腹にとても良い菌がついて,身体にもいいのです.世界で一番の長生き村はロシアのコーカサスというところにあります.なんでも百才くらいでは「若いのー」などといわれるんだそうです.そのコーカサスの人はヨーグルトなどの乳酸菌を含むたべものをたくさん食べているそうです.日本では「納豆」や「お漬物」がそれにあたります.
4.お漬物は野菜だけではありません.
魚も漬けちゃいます・新鮮なお魚を糠に漬けると,長もちするのはもちろん.骨まで柔らかくなり味も良くなります.先生の家では時々卵の黄味をガーゼにくるんで漬けます.黄味がやわらかく固まってとてもおいしいです.これはお味噌でもウマイ!.次に石川県では猛毒のふぐの卵を米糠につけます.3年つければその毒も消えてしまうそうです.これなんかすごいですね.誰が最初にやったのでしょう?命をかけて実験したんでしょうね.
5.肥料になります.
畑の作物の根元にまくととてもよい肥料になります.葉っぱが青々していきおいが出てきます.こうして育てた野菜は化学肥料で作るよりもおいしくなります.それに野菜が強くなるので虫もつかず,病気にもなりにくいのだそうです.昔の人も糠を肥料に使っていました.ドラエモンのどこでもドアがあったら,先生は江戸時代にいっておいしい野菜を沢山食べてみたいと思います.きっと野菜のにおいがプンプンするような,パリパリしたおいしいやつがたくさん食べられることでしょうね.
6.現代では思いがけないことに利用されています.
米糠に水を混ぜると醗酵して熱を出します・これをお風呂代わりにすれば身体が温まるばかりでなく,身体の悪い成分が出てしまうのだそうです.・・・しかし,なんだかお漬物になったみたいで変な気持ちでしょうね・・・
7.米糠製品を紹介します.
なんといっても「米糠」そのもの.これはスーパーでも売っていますが,気をつけないと「漬物用」として塩やトウガラシが入っています.そうでないのもありますが,お米やさんで売ってもらうのが新鮮で一番です.次にシャンプーやボディーシャンプー,それに石鹸とクリームです.どれも美容に関係していますね.ほかにもきっと良い使い道があるはずです.君も考えてみたら面白いと思います・・・
8.米糠で出来る製品の作り方ですが・・
糠袋や糠漬のことは書いたとおりです.君のまわりにいる大人に聞いて習ってください.そのほうがきっとくわしく,しかも分かりやすく教えてもらえるはずです.ゲンボー先生は食べるばかりで,作るのは苦手です.ごめんなさいね・・・
まとめ
ということで,現代ではなじみのうすい「米糠」ですが,僕達のご先祖様はこうしたものを無駄なく使いこなしていました.江戸時代の終わり頃から明治時代のはじめに来た外国人が一番感心したのは,その時代の日本人が,ごみを出さないこと,そして町がとても清潔だったことだそうです.アメリカやヨーロッパより近代化は遅れていたり,貧しかった日本ですが,豊かな自然と清潔な暮らし.そして他人を思いやる心に満ちていた生活があったことを僕達は忘れてはいけません.君は米糠という面白いものに目をつけましたが,こうしたこともそのことをとおして知っておいてくださいね.
(平成11年12月1日)
喬太です今、米のことを勉強しています。おじいちゃんから昔の米ぬかの作り方を聞きました。
1.1升ビンに玄米をいれる。
2.棒でつつく。
3.粉の部分がぬか。
僕達5年生は、自分達で作った米でおにぎりを作りました。おいしかった。
ゲンボー先生 より
喬太君 昔の人はお米の全ての部分をむだに捨てたりはしませんでした.茎や葉は「なわ」や「むしろ」それに「わらじ」や「雪グツ」のようなはきものにもしました.なかでも糠はさまざまな使い方をされてきました.
これからも,チャンスがあったらお米のことや,糠のことを調べてみて下さい.
そうそう,君の質問に答えてくれている人からのメールをしょうかいします.鹿児島県の人ですよ・・・
米糠の使用・・・釣りのまき餌に混ぜます。煙幕とにごりの効用があります。
そろそろこの釣りの季節がやってきました。もっぱら「ちぬ」関東では「クロダイ」つりに有効です。
自分達で作ったお米で作るおにぎり,おいしそうだなあ・・・炊きたてのホカホカ,米つぶがピカピカ光っているようなやつ.・・・・・・がぶり!・・・・・先生も頭の中で食べました.
社会科のことなら何でも相談にのります.またメールをくださいね.では,元気で頑張って下さい.