玉川学園・玉川大学
ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.
冷えたご飯を電子レンジなどで再加熱しても美味しさは元には戻りません。ご飯が冷えて美味しくなくなる理由をお答え下さい。
竹田(平成12年12月13日)
ゲンボー先生より
竹田さんへ
ごはんのおいしさは、その主要成分であるでんぷんがカギを握っています。
●「でんぷんの糊化」
お米の主要成分であるでんぷんに水を加えて加熱するとなる、粘りのある状態。
糊化する前のでんぷんをβ-(ベーター)でんぷん、糊化したものをα-(アルファ)でんぷんと呼び、糊化のことをα化とも言います。
α-でんぷんは、水と熱の作用で結晶構造がほどけた状態にあるため、消化が良くなります。
●「でんぷんの老化」
炊きあがったごはんをそのまま放っておくと、次第に硬くなり、生の状態に近くなること。
でんぷんが老化すると、口当たりが悪いばかりでなく、消化酵素も作用しなくなってしまいます。
老化は水分や温度に影響を受けやすく、水分が10%以下、温度が0℃ 以下や高温の時、老化は進みにくくなっています。
〈老化しやすい条件〉
もち、パン、ご飯のように、水分が30〜60%の食品が最も老化が起こりやすいとされています。
温度は2〜3℃の時、老化しやすくなっています。冷蔵庫にごはんやパンを入れると、老化を促進させてしまいます。
〈でんぷんの老化を防ぐには〉
α化したものを急速に乾燥させて水分を10%以下にするか、あるいは温度を0℃以下にします。
このように加工したものが、乾燥米飯や冷凍米飯です。
〈でんぷんの成分と老化〉
でんぷんには、アミロースとアミロペクチンという2つの成分があり、老化のしやすさが異なります。
アミロースの方が老化は起こりやすく、従ってアミロースを含まないもち米よりうるち米の方が老化しやすくなります。
また、砂糖はでんぷんの老化を遅らせる効果があるので、それらを含む団子や和菓子は柔らかさを保つことができるのです。
お米のことについてちょっと一言
お米は栄養バランスのとれた「日本型食生活」の中心であると同時に、栄養面からみて極めて優れた健康食品であり、次のような栄養特性があります。
●でんぷん(炭水化物)(76%)を主体として、タンパク質、脂肪、ビタミンB1、ビタミンB2など各種の栄養素が含まれており、お米は、供給熱量の3割近く(26%)を占めています。
●お米のでんぷんは、良質のでんぷんであるため消化吸収率が98%と高く、すぐ力が出るほか、力が持続するといわれています。
●お米のタンパク質には、体に必要な必須アミノ酸がバランス良く含まれ、摂取タンパク質の約2割をお米からとっています(魚介類から24%、米・米加工品から18%、肉から16%)。
●ごはんは、粒食であり、インシュリンの分泌刺激性が弱いため、太りにくい。
●お米のでんぷんは、体内ですぐブドウ糖になり、脳のエネルギー源となります。脳の新陳代謝にはビタミンB1等のビタミンが必要ですが、ごはんはビタミンB1を多く含んでいる大豆や卵と相性が良いので、脳の働きを活性化します。
●漢方医学では、胃腸を正常化し、体温を適温に保つなどの薬効があるといわれています。
●お米に含まれる脂肪は、リノール酸等の不飽和脂肪酸であり、血中コレステロールを低下させるなど体によいとされています。
●米ぬかは、昔、肌の美容のためにぬか袋として女性に使用されていましたが、最近では、米ぬかを原料とした洗顔料、化粧水、シャンプーのほか、お米を醗酵させて作った入浴剤などの新製品もあります。
−小麦粉に比べ質のよい米のタンパク質−
体内で合成できない必須アミノ酸を多く含む食品を、質のよいタンパク質といって、アミノ酸スコアで表示されます。
お米は、小麦粉やとうもろこしより、かなり高い数値ですから、質のよいタンパク質であることがわかります。
これに魚や大豆の副食を組み合わせる日本型食事は、とても健康的な食べ方といえます。(平成11年12月14日)