みんなの広場「日本のお友達3

玉川学園・玉川大学

ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.

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ゲンボー先生へはじめまして

ぼくは北村悠です。小学3年生です。学校でいねを育てていて、お米の勉強をしています。お米をつかってできるもので、食べ物いがいに何がありますか?それはどうやってできるのですか?わかったらおしえてください。(平成11年10月4日)

ゲンボー先生

北村君 メールを有難う.お米からつくられるもので食べ物いがいというのは,とても難しい質問ですね.

1.「のり」=デンプンからノリをつくりますが,最近ではお米からつくるノリは減ってきています.ただし,とくしゅな工業用のりは今でもつくられています.

2.「米麹」(こめこうじ)=お酒やみそ,しょうゆなどの発酵食品(はっこうしょくひん)には「麹菌」(こうじきん)という,菌(目に見えないびせいぶつ)がなければ,作ることができません.お米にこの菌をつけて培養(ばいよう=そだてること)したものを「米麹」と言います.これを,蒸した大豆にまぜると「お味噌」や「しょうゆ」になり.お米にまぜると「お酒」になります.

3.「乾燥剤」=レストランに行くと,お塩のビンのなかに「焼き米」が入っていることがありますね.化学物質の乾燥剤より安全です.(でもあれは自分でつくるものだね・・・)

4.「糠」(ぬか)=お漬け物の「糠どこ」いがいに,洗剤やワックスに使います.これは日本古来の使われ方です.「糠」を布袋にいれて,これで床や柱をみがきます.またお風呂に持って入ってこれでからだを洗います.(せっけんが日本にはいるまでは,これで身体を洗っていました)今でも,健康食品やそういったしゅるいのお店で売られています.そうそう,糠せっけんと言うのもうっていました.糠はお米ではありませんがお米の一部としてとりあげました.

こんなところですが,先生ももっと調べてみます.日本はお米を沢山作っていますが,食べ物いがいの工業原料として使われることは本当に少ないですね.

食品としてなら沢山ありますよ・・・

アルコール・でんぷん・お菓子(おせんべなど)・味噌・しょうゆ・日本酒・焼酎(しょうちゅう)・ビール(ビールの主な原料は麦ですが,日本のビールにはお米も使われています)・蒸しパン・糠(ぬか)・ビーフン・麺類などなどです.あと,お米ではありませんが「わら」の使い道も多いですね.

こんなところでいいですか?(平成11年10月5日)


減反について教えて下さい

三重県の五年生の 大田美緒です。米作りをして米を収穫しました。そして、今、減反についてみんなで学習しています。米があまっているので減反をすることを知りました。日本での減反の状況や農家の人たちは減反でお金をもらうそうですが、どんな仕組みになっているのか、減反の良いところと悪いところを教えて下さい。(平井淳君への返事も読みました。)(平成11年10月29日)

ゲンボー先生

大田さん,お便りをありがとう.減反はその人の立場によって評価がことなります.ですから単純に「良い」「悪い」といった判断はできません.先生がこれから減反についておおまかに説明しますから,判断は美緒さんがしてください.

減反はお米の余りはじめた1969年(昭和44年)に始まりました.当時は食糧管理制度がありましたから,できたお米は全て政府の決めた価格で政府が買い取りました.それまでの日本は常に「米不足」でしたから「米あまり」の状況ということを政府も農家も考えていませんでした.「作れば作るほどもうかる」しかも安定した収入を得られるわけですから,農家はできるだけ多くお米を作ることに努力してきたのです.
しかし,毎年何百万トンもの米が売れ残る状況になると,政府の赤字は増すばかりです.政府の赤字は税金で補うわけですから,国民にはねかえってくる赤字ですね.しかも残ったお米は捨てるという状態になりました.
そこで,政府は「もうこれ以上お米の生産量をふやさない」という方針をたてました.そして地域単位に減らす水田面積を決め,一軒一軒の農家にそれを割り当てました.それに協力すれば補償金が出されました.これが減反です.お米の生産量を減らして「米価」(べいか=お米の価格)を安定させ,しかも政府の赤字を減らそうとしたわけです.確かに赤字も減り米価は安定化したように見えました.しかし,「お米を自由に作りたい」という農家も多く現れ,闇米(やみごめ=平井君への解答を参考にして下さい)といわれた「自主流通米」が多く出回るようになりました.おいしいお米は高く売れるからです.農家にしてみれば今まで『作れ!作れ』といわれて,新しく土地を広げたり,高い機械も買い揃えたのにこの時なって「減らせ」「作るな」と言われても『なんだ!』ということになりますよね・・・ですから,減反しない農家もでてきました.これは食糧管理法という法律を破ったことになりますから,政府はそうした農民を取り締まったり,裁判に訴えました.
そんなことで一時,米価は安定するかに見えましたが,今度は「日本の消費者は世界一高い米を買わされている」ということが明らかになってきました.
ここでお米も他の作物と同じように「自由に作らせろ」という声が消費者からもわき上がってきました.さらに米国をはじめとする米の輸出国から「日本も世界からお米を輸入して欲しい」という要求がでてきました.これがウルグアイラウンドですね.こうしてあと何年かでアメリカ・オーストラリア・タイなどといった国から沢山お米が入ってくることになりました.政府は関税といって,国内のお米と同じくらいの価格にするために税金をかけます.しかし,価格の競争が始まれば当然安くなっていきます.政府は高値安定といっていますが,いつまで続くか???です.
こうしたことに耐えられるのは大規模農家だけです.ですから政府もアメリカのような機械化した大規模農業を奨励しています.政府は1995年に農家にも自由にお米を売れるよう,食糧管理法を改正しました.しかし新生産調整推進対策といって減反する方針は変えていません.ですから減反は大規模農家にも割り当てられています.政府は大規模農家ほど米価が下がったらこまるのだから協力してほしいといっています.現在は法律も変わり減反に協力しなくても罰せられることはありませんから一定の値段に下がったら減反に協力しない農家も当然でてくることでしょう.これはもう時間の問題といわれています.
美緒さんはバナナ好きですか?バナナは安くておいしい果物ですよね,でも先生が子供の頃はとても高級で値段の高い果物だったのです.これも自由化されてどんどん安くなりました.オレンジも牛肉もそうです.君がお母さんになるころはお米も今よりずっと安くなっています.これは消費者にとってはとても良いことですね.しかし,小規模だったりお年寄りだけが経営している農家はどうなるんでしょう?
政治はこうした人も救わなくてはならないのです.今行われているその一つの方法が「減反」というわけですね.しかし,時がたてば減反政策も大きく変わります.それはそう遠い先の話ではありません.美緒さんはどうなればいいと思いますか?(平成11年10月30日)


話し合いました

三重県の 大田美緒です。ゲンボー先生の返事を先生に印刷してもらってクラスのみんなで読んで調べてきたこととあわせてみんなで話し合いました。政府の言うように減反しないと米があまってもったいないという子や、農家の人が自由に作りたいのだから作った方がいいと言う子もいました。政府が、きちんと先のことを考えないからいけないと言う子もいました。どうしたらいいか難しいですが、クラスでは、

・米をもっとみんなが食べた方がいい。
・政府と農家の人がもっとお互いに話し合うことをして納得できればいい。
・大豆や麦など輸入しているから農家の人が順番に作れば自給率もあがる。

などでました。

農家をしている子が、麦など作ってもいいけど値段が米より安いので作らないといったので、値段が高かったら農家の人もいいと思ったら、今度は、消費者が困るという意見が出てまたむつかしくなりました。(平成11年11月7日)

 

ゲンボー先生

お米には難しい問題が沢山あります.でも必ず「良い方法」があるはずなのです.みんなでそれを考えることがそのステップの始まりです.ですから皆さんがいろんな意見を出し合って,話をしたことはとても素晴らしいことです.先生は今,仕事で京都に来ています.帰ったらまたご返事しましょう.(平成11年11月8日)

帰ってきたので・・・

君たちが話し合って出した結論を先生にも聞かせて欲しいなあ.同じことでも立場によって意見がちがうということが分ったことは大きな収穫ですね.おそらく授業は「お米」や「農業」のことを終わって次のところに入っているでしょうけど,日本にとってお米の事はとても大切なことがらなので,また機会があったら勉強して下さい.(平成11年11月10日)

 

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