玉川学園・玉川大学
ここは日本のお友達との交流の広場です.ゲンボー先生とのやり取りもここで行います.
私は、岡山市立 朝日小学校5年生の佑美といいます。今、学校でお米の事を勉強しています。インターネットで (カモによる田んぼの除草)というのを見たのですがどこで実際にしているのか教えて下さい。よろしくお願いします。
ゲンボー先生
祐美さん メールをありがとう.
田んぼで鴨を飼うといいことがいくつかあります.
1.害虫を食べてくれる.
2.雑草を食べてくれる.
3.稲の周りを水かきのついた足でかき回してくれるので,酸素が土に入って稲がよく育つ.
4.糞が肥料になる.
5.農薬や化学肥料をまかないので環境にいい.
6.鴨が育ったら売れる.(ちょっとかわいそう)
です.福岡県のある農家では1.5ヘクタールの田んぼに300羽のアイガモを飼っているそうです.鴨を使うことによってお米の生産量が34.5%も増えたとのことです.
この農法は日本にも古くからあって,今でも中国や東南アジアで行われているそうです.日本でも各地で行われています.岡山県にもあるはずですから調べてごらんなさい.
ただし,カラスや野犬におそわれることもあって,結構大変みたいですよ.
ゲンボー先生
直哉君 メールをありがとう.お米にかかる費用は
機械を買ったお金
種や苗を買ったお金
肥料を買ったお金
農薬を買ったお金
人が働いて得るお金
などなどです.
日本の平均的な農家が持っている田畑の広さは1.2ヘクタールです.アメリカの農家は63ヘクタールです.
アメリカでは飛行機で種や肥料や農薬をまきます.刈り取りも大型の機械で行います.これを,全て一つの農家だけでやってしまうのです.もっとひろいところでは専門の会社が刈り取りをします.人手をできるだけかけずに,たくさんのお米を作るから「安く」できるのです.
日本は農家一戸あたりのお米の生産量が低い上に,長いあいだ国がお米の値段を決めていたため,「競争」がなくなり,どんどんお米の値段が高くなってしまいました.このことは先生のページにもたくさんかいてありますから,そちらを見てください.
これから,どんどん安くておいしいお米が日本に入ってきます.日本の農家はどうすれば外国のお米に対抗できるでしょうか?このことを考えてください.(お米のねだんが高く安定していたために,農家の経済も安定していました.このことも忘れないでね)
勉強,頑張ってね・・
ゲンボー先生
ゲンボー先生
manaeさん メールをありがとう
1.あとつぎがいない.
農業はしごともきつく,収入も安定していないので会社つとめをする人が増えています.また,いてもお嫁さんのなり手がいなくて困っています.
2.お米の値段が下がっている.
これまで政府が値段を決めていたお米ですが,外国との約束と国内の消費者(しょうひしゃ=お米を買う人,つまり普通の家の人)の「お米が高い!」というひはんによって,外国から「安いお米」がどんどん入ってくるようになります.そうなると,今より収入が減ってしまう.
3.かんきょう問題やけんこう問題でたくさんの農薬を使うことができなくなっている.
4.機械のねだんが高くて,ローンのお金をかえすのがたいへん.
などです.
どの問題も先生のホームページにでていますからそれをよく読んでください.それでも分からないことがあったらまたメールをください.
ゲンボー先生
ゲンボー先生
香奈 さんメールをありがとう.そのとおりです,よく気がつきましたね.答えは簡単「コシヒカリ」がおいしくて良く売れるからです.日本人の味覚は時代とともに少しずつ変化しています.それはお米だけではありません.ジュースもあまり甘いのは好まれないでしょ?
缶入りのお茶なんて昔はまったく売れませんでした.ところがある時点から売れるようになって,今は君も知っての通りです.ビールもむかしは「苦くて」「濃い」のが好まれましたが.今ではスッキリ,ドライ系ビールが主役です.
お米では「弾力」があって「もちもち」しているのが好まれるようになりました.それがコシヒカリなのです.はじめのころ(1940〜1980年)コシヒカリは福井県や新潟県で細々と作られていました.一番の原因は茎が弱く倒れやすかったからです.
しかし,銘柄米(めいがらまい)と言われる「名前のついた」「産地が決まっている」お米を作ってもよくなった1990年代から爆発的に売れるようになったのです,それは,多くの日本人に好まれる味や食感(しょくかん=食べた時の感じ)だったからです.(どうして,それまで名前をつけて売ってはいけなかったのかは,先生のホームページ「お米の法律や自由化について」を良く読んでください.)
それで,多くの県でコシヒカリを作るようになったのです.しかし,今でも関西では「日本晴」という品種が好まれています.またコシヒカリは他の品種とかけわせて,暖かい土地でもおいしくできるとか,茎を強くするなどの改良が加えられています.その多くは〜ヒカリと言う名前がついていますからすぐに分かります.
お勉強頑張ってくださいね.
ゲンボー先生
こんにちは。私は、今日このHPをみた横浜の小学5年生の美沙希です。明日、学校で田植えがありこのHPを検索してみました。とても、参考になりました。明日の田植えの結果等をまたメールします。
さようなら。
ゲンボー先生
絢子ちゃんメールをありがとう.
赤いのや黒いのや紫とかいろいろあったでしょう.今から2000年前の弥生時代ころは,一つの田んぼで色のついたお米がごちゃごちゃに作られていたようです.
なかでも赤米はお目出たい時に食べられていました.これがお赤飯のもとです.今でも中国の雲南庄の山奥に行くとお正月や刈り入れの祭りの時に赤米を食べているのだそうです.おもしろいでしょ?
さて古墳時代(こふんじだい)になり,やがて大和朝廷(やまとちょうてい)といって日本全体を支配するような仕組みが出来上がりました.そして,中国や朝鮮から進んだ文化を取り入れて日本も近代国家をめざしました.
その時に法律もとりいれたのです.それまでいろいろな決まりはありましたが,ちゃんと字に書いてなかったので,時代や地域によって法律がちがっていたのです.
中国から学んで作られた法律を「律令」(りつりょう)といいます.その律令の中に「全ての土地と人は天皇のものであり,毎年決まったように税をおさめなくてはならない」と決めてあったのです.
税といってもお金ではなく「お米」や「布」「特産物」でおさめたのです.特産物には「かつお」とか「いちご」とか「しお」「干したアワビ」などなど・・・それはそれはたくさんいろいろなものがありました.
さて,お米ですが,このころから「種類」を分けて作られるようになったようです.黒いのは黒いの,赤いのは赤いの.白いのは白いの・・・というふうにです.
このなかで,主食として食べて一番おいしかったのが「白いお米」だったのですね.その白いお米も大きさや形,それに味などで分けて作られていきました.こうしたことをむずかしい言葉で「品種の選別」(ひんしゅのせんべつ)といいます.
数年前,奈良時代の遺跡(いせき=昔の人が住んでいたあと)から木簡(もっかん)という文字が書いてある木の札が発見されました.そこには何種類ものお米の名前が書いてあったのです.
奈良時代には国の仕組みも出来上がり,税としてのお米を集めるために品種の選別が進んだと思われています.
やがて,赤米や黒米は特別な時だけに使われるようなったため,平安時代にはほぼ白いお米だけが作られるようになりました,それから今日まで「お米」は白いのだけがたくさん作られるようになったのです.
さて,お米はなぜ白いか?・・・・・・・・???
これは,神様に聞くしかありませんが,遺伝子(いでんし)という,代々子供に伝えていく物質の中に色をきめるところがあって,そこで「白」だと,お米も白,「赤」だと赤くなっちゃうんです.すべての生き物の形はこの遺伝子で決められてしまうのです.
ゲンボー先生
ゲンボー先生
あゆみちゃん.メールをありがとう
田植えは同じ時期に行わなければなりません.しかも中腰ですから大変な重労働(じゅうろうどう)でした.今は田植え機があるからずい分楽になりましたが,広い田んぼを少ない人数でやるのは疲れますね.
そこで,鎌倉時代頃になって「みんなで」協力して田植えや稲かりをするようになりました.そのときに疲れをまぎらわすためや,リズムを取るために歌を歌ったのです.
畑は作るものがちがえば植える時期もちがいますね・・・
ゲンボー先生
前略.興味深くホームページを拝見いたしました.内容は非常に面白くて,感心しています.おこめを主食として食べてきた1中国人として,敢えて一点意見を申し上げたいと思います.中国(特に南部地方)とか,近隣アジア諸国でも主食としてお米を食べています.「おこめ」の歴史について議論をするときに,「お米」を主食としない欧米を対象にして比べるというよりも,アジア諸国とを比べたほうがいいのではないでしょうか.それから,「おこめ」は,ほんとうにいつ,どこにその源に辿るかは,非常に興味のあることです.それを調べて頂いて,HPに載せていただいたほうがよいのではないかと思います.実は最近,水田のことが話題になって,回りの人と話しをしたことがありますが,私も,回りの人も,正確な情報を持っていないのではないかと感じていました.
以上よろしくお願い申し上げます.
ゲンボー先生
おっしゃる通りです.このホームページ(学習)を立ち上げた4年前にカナダとアメリカの学校とやろうという話があったので,御覧のような文面になったのです.欧米といわず世界中の国々と比較できるとなおいっそう面白くなります.
このホームページは「双方向」の学習の実験ページとして存在していて,基本的に私が調べてアップする「参考書」ではありません.しかし,学校全体のコンピュータを利用した学習方法がまだまだということと,日本の社会科学習が暗記主体のため,子供がテーマを持って調べ,それをまとめ,発表することが不十分なのです.
したがって,子供の質問に答える形で「お米」について説明しているというわけです.高さんは中国の方ということで,中国関係の質問が来た時に答えていただけますか?つまりゲンボー先生の一人になっていただきたいわけです.いかがでしょう・
「お米」は日本の文化を育んできた大切な作物です.しかし,今の日本人は工業ばかりに目を向けています.どんなに科学技術が発達しても「農業」が国の基本なのです.コンピュータを売ってネギを買っているじゃないですか(笑)
中国は華中と華南は米が主食ですが,東北部はお米ではなく麦と聞いています.お米に対する中国人の考え方に興味があります.やはり地域によって大きく異なるのでしょうか?教えて下さい.
ゲンボー先生,早速のお返事ありがとうございました.仙台市の高より
HPを開設された事情はよく分かりました.とても良い実験で,成功してほしいと思います.私の授業でも,学生にインターネットを通して,情報収集をさせています.今日も,「水田」や「おこめ」の歴史に感心があったので,インターネットで調べていたら,ゲンボー先生のHPを発見しました.
私は中国の出身(中国人)ですが,残念ながら,中国にいたときは,スポーツなどに冒頭していたせいもあって,歴史(中国の歴史も含めて)に興味がほとんどありませんでしたので,中国の歴史や風習などに関する知識はあまりありません.いまは非常に後悔しています.
「おこめ」に関しては,基本的に長江を境に,その南の地方は主食としていると思います.私は四川省(中国の南西部にあります)の出身ですが,そこの主食はおこめです.四川省の成都市の近くに,2200年まえの戦国時代末期の蜀国で作られた大水利施設「都江堰」というものがあり,いまでも2千年前と同じように水田の灌漑に使われています.私は,お米を食べて育ったので,日本人と同じように毎日お米を食べないと,落ち着かないです.逆に北部地方(北京が位置する華北地方や,西安がある北西地方,東北地方)は,麦が主食になります.私はしばらく東北地方の大連にいたことがありますが,お米があまり食べられなくて,とても大変でした.
中国は,南と北とで,文化的にかなり異なる部分があります.食文化も同じです.南では,文化的にお米が非常に重みを持っていると思います.逆に北では,麦が主食なので,麦を中心とした食文化があると思います.”春節”(旧お正月,日本ではもう祝わなくなったのですが)では,南の人は日本人と同じように「お餅」を食べて祝いますが,北の人は「ギョウザ」を食べて祝っています.ただ,日本のお米のほうが,中国のお米よりおいしいと思います.
私たちのグループは世界のお米の料理や種類、特徴を調べています。作り方によってお米の形や味は違いますか?
名古屋市立鳴海小学校 ゆま
ゲンボー先生
わかりました.お米は大きく分けて3種類あります.
1.日本や中国,韓国で食べられている「短くて」「丸っこくて」「炊くと粘り気のある」ジャポニカ種.
2.細長くって炊いても粘り気のないインディカ種.
3.アフリカのニジェール川だけで栽培されている,グラベリマ種です.
この中で最も多く食べられているのはインディカ種です.このお米はヨーロッパ,中近東.インド,東南アジア,北米.南米で食べられています.
パラパラしていますから,ピラフやカレーにはとてもよく合います.またイタリアのリゾットも本来はインディカを使います.
これらの国々では独特のお米料理があって,それぞれ味付けも異なります.ですから簡単に「こんな味」とは言えません.
ヨーロッパではお米は主食ではありません,パンが主食ですね.だからお米料理はたいてい味付けがしてあります.スペインのパエリヤ,イタリアのリゾットはその代表選手です.
ではパエリヤの作り方を教えましょう.
パエリヤ鍋(なければ普通のフライパン)にオリーブ油をひきます.
そこに,とがないままのお米(もちろんインディカ米)と,あらかじめ炒めてあった鶏肉,ハマグリ,あさり,ムール貝,ピーマン,イカなどをのせて,スープを入れてご飯を炊きます.このときに絶対に忘れてはならないのが「サフラン」です.サフランが入ると香りも色もよくなります.(黄色になります)
本来はふたをしないらしいのですが,日本でやるときはふたをしたほうがいいみたい.炊き上がる寸前に味をととのえて,ハイ出来上がり.アツアツをお皿に盛って,レモンを絞ってたべます.うま〜〜〜〜い!!!
これなどは,スペイン風炊き込みご飯ですね.時間があったら作ってみてください.お米はジャポニカでもいいよ.
質問に対する答えですが,作り方によって米の形が違うのではなく.地域によってお米のかたちが異なります.そして料理の仕方によってお米の味は違います.そのまま白米で炊いても米の種類によって味は異なります.
ゲンボー先生
ゲンボー先生メールありがとうございました。とっても役に立ちました。
今度の発表にぜひ使わせてもらいます。鳴海小学校 ゆま
夏休みに「世界の米作り」を調べています。
国によって米の作り方が違うと思うし、どのようにして米を作っているのか調べてみたかったからです。まずは、日本と外国(タイ、アメリカ、中国などいろいろな国)の、土の違いについて調べようと、思っているので、いろいろな国の事を教えてください。お願いします。また、いろいろなことを、聞くのにメールします。
ゲンボー先生
タイの米作りで有名なのはチャオプラヤ川の下流で行われている「浮き稲」の栽培です.タイには雨期と乾季があって雨期になると毎日雨がふり川があふれます.あふれると言っても日本の洪水のようにドバーっとくるのではなく,じわじわ水かさが増してきて,気がつくと道路も庭も水の下ということになります.
人々はあわてることなく船で行き来するようになります. チャオプラヤ川流域にすむ農民はこのじわーっとあふれる水を利用して稲を育てているのです.
水の中には養分がたくさん含まれています.浮き稲はこの養分を根元から吸い上げながら,水かさが増すと茎をのばして常に水面に稲がくるようにのびていきます.その長さは3メートルにもなるそうです.稲刈りは船の上からします.毎年必ずある チャオプラヤ川の洪水は恵みをもたらす洪水でもあるのです.面白いでしょ・・・
アメリカは広〜い土地に飛行機で種をまき,トラクターで収穫します.ですから日本のお米より安く大量に作ることが出来ます.面白いのはたんぼの形で,地形にあわせて水平に作るために日本のように四角ではありません.ちょうど地図の等高線にそって作られるために「等高線農業」(とうこうせんのうぎょう)と言われています.
中国は日本と似ていますが,作る米はハイブリッド米といって一つの穂にたくさんのお米ができる「多収穫米」です.これは日本の学者が努力の末に作ったものですが,当時日本では米あまりで見向きもされなかったものです.
それに目をつけたアメリカの穀物会社が中国に売り大きな利益をあげました.中国はそれを更に改良しています,人口の多い中国にはぜひとも必要なお米なのです.
それぞれちょっと視点は違いますが,国がかわれば中身もかわると言う例としてお話しました.
ゲンボー先生
僕は、奈良県の忍海小学校3年の祐大です。 今、学校で米作りをしています。品種は,ヒノヒカリです。僕は、コシヒカリが好きですが、奈良県で作れないのでしょうか。
ゲンボー先生
奈良県でももちろん「コシヒカリ」は作れますが,多く作られているのは「ヒノヒカリ」と「ホウレイ」で,次に「アキツホ」「アスカミノリ」「ハナエチゼン」です.特にヒノヒカリは奈良県全体の半分以上で奈良県と言えばヒノヒカリということになります.
ところでコシヒカリはおいしいお米の代表ですが,茎が弱くたおれやすいこと,温度によってあじがかわりやすことなどと,どちらかというと作りにくいお米なのです.そこでコシヒカリのあじを残して,各地でその土地や気候にあったコシヒカリの子供達が作られていきました.ヒノヒカリもそのうちの一つで,宮崎県総合農業試験場でコシヒカリと愛知40号(黄金晴)を掛け合わせて作られました.暖かい地方のコシヒカリの子孫ということですね.
奈良県でもコシヒカリを作ることは出来ますが, 奈良県のお百姓さんは,手間のかからないおいしいヒノヒカリをえらんだということなのです.
むずかしい言葉は保護者の方に聞いてください.あつい日が続きますが勉強や遊びを思いきりやって元気に夏休みを過ごしてください.
ゲンボー先生
こんにちは!僕は、札幌市立新陵中学校の1年生で和也(と言います。今回このメールを送ったのは、ちょっとお願い事があるからです。そのお願いとは、学校の学習で、米についてを調べているんですが、資料がほしいのです。それで、次のことについての資料を送ってください。
1.米の歴史 2.米の成分 3.米の作り方 4.米の種類 5.日本の生産量、消費量(米の) です!
ゲンボー先生
1.米は今から8000年前にインドのアッサム地方で栽培されました.その米が東南アジアや中国に渡りました.中国からさらに日本に伝わりましたが,それが今から6000年前くらいの話です.このことについては先生のホームページにたくさん書いてあります.
2.米は「タンパク質」「デンプン」「油分」「繊維質」(せんいしつ)などからできています.一番多いのがデンプンです.お酒を作る時にはタンパク質の部分を研いで削ります.また胚芽(胚芽)の部分にはビタミンBが豊富でこれを食べると体が元気になります.
3.お米は主に水田で作ります.水田で大切なのは水の管理と土つくりです.
たんぼの土つくりの方法.
田んぼの土つくりは大変に手間がかかります.たんぼは池と同じですからそこから水が抜けてはいけません.ですから「代掻き」(しろかき)といって,水を入れたたんぼの土をほぐして,かきまぜて細かくします.この土が下にたまって栓の役目をするのです.
3月ごろに「田おこし」といって,土を掘り返します.こうすると害虫が死んだり酸素が土に混ざってよいのです.それから肥料をまきます.農家によっては「れんげ」の種をまきます.れんげ畑を見たことがありますか?きれいですね・・・れんげの根っこには「根粒(こんりゅう)バクテリア」という小さな小さな微生物(びせいぶつ)がついて,植物が育つのに大切なチッソが土の中にたまります.
4月〜5月にかけて,代掻きをします.普通は2回行います.それから「あぜ道」を作って.出来上がりです.
稲は根っこのところだけを土にうえます,苗と苗の間は20センチくらいです.稲の養分は水によって運ばれてきます.たんぼに水があるのはそのためなのです.しかし,稲の花が咲いたら今度は水を抜かなくてはなりません.こうしないと良いお米はできないのです.刈り入れの10月〜11月は完全にたんぼが乾いています.今度見て下さい.
水田は水が養分を運び,老廃物(植物にいらない成分.根っこから出します)を流すので,毎年同じところでお米ができます.普通の畑では「連作障害」(れんさくしょうがい)といって,同じものを作り続けるとやがてとれなくなってしまうのです.田んぼってすごいね!しかし,その分土の管理や水の管理が大変なのです.農家のひとの努力が少しわかったでしょ.
たんぼに適した土,というより「適した土」にするのです.たんぼは池と同じですからそこから水が抜けてはいけません.ですから「代掻き」(しろかき)といって,水を入れたたんぼの土をほぐして,かきまぜて細かくします.この土が下にたまって栓の役目をするのです.
水の管理の方法
水は遠くの川やため池から水路を通って運ばれます.ふだん何気なく見ている田んぼの水をたどってみて下さい.遠くの方からやってくるのが分かります.この水路は人がつくったものなのです.水にはそれぞれ権利があって,どの地区でどれだけ使うかが決められています.
先生のページの「讃岐平野」を見て下さい.水とのかかわりが良く分かりますよ.
米の作り方は,「ごろべえ」さんのページにくわしく出ていますからそちらを見た方が良いでしょう.先生のページからリンクしています.
4.お米の消費量
およそ1000万トンです.これでいいですか?分からないことがあったらまたメールをください.
ゲンボー先生
ゲンボー先生
メールをありがとう。
お米をなんでお米と言うか・・むずかしい質問ですね。「米」という文字は中国で考えられました、土に根をはり葉やくきがのびていくようすを表しています。発音は「めい」とか「べい」といいます。「こめ」とか「よね」という単語はおそらく日本人の祖先が縄文時代や弥生時代に作ったものですが、どうして「こめ」「よね」といったかはいろいろな説があってわかりません。
いくつか紹介します。
気持ちを「こめる」問いう言葉が語源の説。
東南アジアの「クメイ」と言う言葉が語源という説。
「小実」(こみ)が語源と言う説。
などなどです。どれでしょうね?
君も考えて下さい。
ゲンボー先生
じめまして。外国、とくにフランスでは、どのような米料理をたべていますか?満里
ゲンボー先生
メールをありがとう。
先生は20年ほど前にフランスにいたことがあって,少しなら分かります.お米の料理はおかずとしてつけ合わせに出る程度でメニューとしてはイタリア料理や、スペイン料理のほうが多かったように思います。
なぜかというと、フランスではお米ができないからです、お米を料理に使うことが伝統的に無かったのだと思います、一方イタリアやスペインでは川の流域でお米が作られていましたから、リゾットやパエリヤなどのお米が主体の料理ができたのだと思います。もちろんフランスでもそうした料理を食べることができます。ロシア料理のビーフストロガノフにもバターライスが付け合わせで出ますね。
フランス料理もバターライスや炒めた形で付け合わせになります。
ちなみにフランス語でお米のことを「RIZ」(リ)といい。ベッドの意味である「LIT」(リ)との発音の違いが難しく、はじめの頃は「おまえはベッドを食うのか」と良く笑われました。
フランス料理のお米の使い方については先生よりも、お料理の本を調べた方が確かだと思います。
ゲンボー先生
岡山市立芳明小学校6年 広野です.脱穀する前の新米の稲穂を、少しだけもらいましたが、手で籾殻を除き、玄米にする方法はありますか?あったら教えてください。
ゲンボー先生
広野君 返事がおそくなってごめんなさい.
もうやっちゃったかなあ.籾は手でこすればとれます.江戸時代から昭和30年代頃まで農家で使っていた「とうみ」という機械を回転させながら,籾をこするような感じで籾がらを飛ばしていました.
扇風機(せんぷうき)の前で両手に入れた籾米をこすれば,籾がらは飛んで玄米が下に落ちるはずです.部屋の中でやると大変だから,外でやった方がいいと思います.
ただし,これをやるには籾米がしっかり乾燥(かんそう=かわいていること)していなくてはなりません.新聞紙をひいて日当たりのいいところで乾燥させてからにして下さい.
もう一つの方法は,広口のビンに籾米を入れて,すりこぎ棒のようなもので軽く「つく」方法です.お米をつぶさないようにやってみて下さい.だんだん籾がらがとれますから,ある程度とれたら新聞紙にとって,その籾がらと玄米のまざったお米だけを,ぽ〜んぽ〜んとあげて(表現が難しいなあ,フライパンでチャーハンを作る時のように・・・)口で吹いてごらん.そうすると籾がらだけが飛んでいってしまいます.(これも外だよ)
江戸時代以前の人は風のある日に「み」という竹やつるで編んだ,ちりとりの大きいみたいなやつで,今言ったのと同じように籾がらを飛ばして玄米にしました.いまでも,インドや東南アジアのいなかでは同じことをしているようです.
自分でやってみて,うまくいったら先生にメールくださいね.
ゲンボー先生
お返事、ありがとうございました。
実は、メールをいただく前に、いろいろ考えて、すり鉢にいれてすりこ木ですってみました。これは、力の入れ方がむずかしくて、一応籾殻が取れましたが、お米まで砕けてしまいました。そこでくじけてほったらかしになっていたのですが、メールをいただいて、やってみました。
稲穂をお日様に一日干してから、手で揉んでみました。すると、前よりすこし楽に籾がとれていきました。ただし、新聞紙を敷いたから、いいと思って家の中で扇風機をかけたら、部屋中に籾がちらかってしまいました。
江戸時代より前の人たちは、こんなことを毎日やらないとご飯が食べられなかったなんて、本当に大変だったとおもいました。
広野
今、授業でお米の文化について学習しています。その、学習のまとめで私は、「おいしいお米を作るために農家の人が工夫していること」を発表しようと思っています。
そこで、インターネットを使っていろいろ調べてみましたが、自分のなっとくできる答えが見つかりませんでした。
ぜひ、私に知恵を貸してください。どうぞ、よろしくお願いします。
ゲンボー先生
ほのかさん,メールをありがとう.
農家の人は美味しいお米を作るためにとても努力をしています.
1.おいしいお米はその土地に合った種類のものを選びます.
コシヒカリが一番おいしいお米といわれていますが,場所によってはおいしくなりません.なぜなら,コシヒカリは昼は暑くても夜は涼しくなるところでなければ,本当のおいしさはでてこないのです.しかも「くき」が弱くて,大雨や風でたおれやすい品種です.作りにくいこともあるのです.
そこで,コシヒカリとその他の種類のお米をかけわせて,その土地に合った品種をつくり出しました.ユキヒカリ,ヒノヒカリなどヒカリとつく名前の品種のほとんどはそうして作られたものです.
2.土をしっかり耕します.
しっかり耕した土には空気が入って土の中にある悪い物質が抜けたり,虫が死んでしまいます.さらに田植え前には「代掻き」(しろかき)といって.水を入れた田んぼの土をドロドロにします.こうして土を細かくしておけば,田んぼに入れた水が下から抜けないからです.
お米の栄養は水で運ばれてきますから,水が抜けてしまうとお米が育ちません.
3.水の管理をしっかりします.
水は遠くの川やため池などから水路を通って運ばれてきます.この水が汚れていたらお米もダメになってしまいます.ですから水路を掃除したり下水が流れ込まないように気をつけています.日本の農家はず〜っと昔からこれを続けているのです.君の家の近くにある田んぼも大昔から続いているものかも知れませんよ.時間があったら調べてみて下さい.
4.肥料をあげます.
今は化成肥料(かせいひりょう)といって工場で作られた薬みたいなものをまいていますが,昔のお百姓さんは田植え前に「れんげ」をまいたり,たい肥を入れたりしました.れんげの花はきれいですね,見たことがありますか?あの花の根っこにつく根粒バクテリア(こんりゅうばくてりあ)という微生物(びせいぶつ=目に見えない小さな生き物)が植物が育つのに必要な窒素(ちっそ)をたくさん取り込みます.田植え前に「れんげ」ごと耕せば田んぼにとって,とても良い肥料になりました.昔のお百姓さんは根粒バクテリアだの窒素なんて知らなかったのですが,経験からそういうことが分かっていたのですね.今でも,工場で作られた肥料を使わずに自然の肥料を使っているお百姓さんもいます.最近では自然の農法がイイというのでそうした農家も少しずつ増えてきたようです.
5.草を抜きます.
「草取り」は暑い夏の重労働でした.草をとらないと栄養が草にとられてお米のとれる量がへったり,味も悪くなるからです.今では薬でイネ以外の植物をからしてしまいます.これを除草剤(じょそうざい)といいます.除草剤のおかげで農家は草取りという重労働をしなくてもすむようになりました.米作りがグンと楽になったのです.しかしこの薬が問題なのです.この薬のために田んぼからドジョウやザリガニやカエルがいなくなったといわれています.今では,かなり毒性の低い薬が使われるようになりましたが,それでもお米の中に入っていきますから,問題がなくなったわけではありません.新しい技術が必要だと言われています.
6.他にもいろいろあるよ.
・「アイガモ農法」といって,水のある田んぼにアイガモをはなしておきます.こうするとカモが草を食べる.足で水をかき回すので水に酸素が入っていい.カモのウンチが肥料になる.お米を収穫する時にカモも育って売れる.なんだかカモがかわいそうですが,これはなかなか良い方法だと先生も思います.ただし野犬やカラスにやられることが多いとのことです.先生のページにも出ているから参考にして下さい.
・「ほったらかし農法」正確には不耕起栽培(ふこうきさいばい)といいます.これはスゴイ!先生向きです.な〜んにもしないのです.田んぼにタネモミをまいておしまい.肥料もやらないし草もとらないし,そのまんま・・・もちろんたくさんとれませんが,こうすると本当に強いイネだけが育って,そのお米はうまいのだそうです.
・棚田(たなだ=段々田んぼ)で作った米はうまい・・ということです.なぜなら機械が入らないので手作業だから・・というのですが・・お米の自由化で安いお米がたくさん入ってくると,そうしたところのお米がまっ先にやられてしまうので(高いから売れない),そういう宣伝をしているのだ,という人もいます.ただ,山奥の棚田は昼と夜の温度差がはげしいので,おいしいお米になるとは先生も思います.
他にもまだあると思いますが,今話したことが基本です.お勉強,頑張ってね・・・
ゲンボー先生
河南町立広渕小学校 佐藤 みずき
ゲンボー先生
みずきちゃん.メールをありがとう.
先生は河南町(宮城県)のことについては知りません.ですからみずきちゃんの学校の所在地を調べて,地図で見てみました. 地図赤丸で囲んだところに「ため池」がいくつもあります.これは人が作ったものだと思います.この池から水路がひかれていますね.ため池のあるところは付近の土地より高いですか?それとも低いですか?
また,良く見ると「真直ぐ」の川が何本も平行してはしっていますが,これは新しく作ったか,作りなおした用水路です.これは「かけやま」という場所の近くの旧北上川からひかれていますね.「わぶち」というところからも取り入れています.
これらの水路やため池は「いつ」「だれ」が作ったんでしょうね・・これは先生では分かりません.君たちが調べて先生に教えて下さい.ご返事まっています.
勉強のポイント:川からの用水路がたくさんあるのに,どうして「ため池」を作る必要があったのかなあ?用水路とため池はどっちが先に作られたのだろうか?
ゲンボー先生
外野小、三年二組、 ちなみ
ゲンボー先生
ちなみちゃん,メールをありがとう.
せかいで一番お米を外国にうっている国はタイです.つぎがベトナムでどちらの国もアジアにあります.
売っているりょう.(1999年)
1.タイ 670万トン
2.ベトナム 460万トン
3.アメリカ 280万トン
ぎゃくにせかいで一番お米をかっている国はインドネシアです.インドネシアでもたくさんお米は作られていますが,人のかずがおおくて外国からかっています.
かっているりょう(1999年)
1.インドネシア 380万トン
2.ブラジル 100万トン
3.イラン 100万トン
では日本はどうでしょう.日本はお米があまっている国ですが,外国とのやくそくでお米をかっています.
一番おおくかっているのはアメリカのお米です.つぎがタイです,
日本がお米をかっている国とりょう.(1997年)
1.アメリカ 26万トン
2.タイ 15万トン
3.オーストラリア 7万トン
日本はもっと多くのお米をかうことをやくそくしています.これからはタイとオーストラリア,それにベトナムのお米がふえてくると言われています.
今はまだりょうが少ないので,おみせで外国のお米を見ることはありませんが,ちなみちゃんが大きくなるころには,外国のお米がたくさん売られるようになって,お家でもごくふつうに外国のお米を食べるようになるでしょう.
おべんきょうがんばってください.
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ゲンボー先生
五井小の5年の者です。今、総合で『稲のわらでほうきを作る』という事をやっているんですが、ほうきの作り方がわかりません。どうつくればよいのでしょうか、また、作る時の必要な材料はなんですか??
ゲンボー先生
明穂さん メールをありがとう.
ふつう「ほうき」を作る時には「ほうき草」や「竹の枝」などを使います.「ほうき草」はこしが強く,室内を掃くのにてきしています.「竹の枝」は丈夫なので外を掃く時によく使われています.君の学校でもそうでしょう.
ところで,明穂さんがたずねているイネのわらは,折れやすく,そのうえクズが出やすいので「ほうき」にはあまりむかない材料です.まずこのことを分かって下さい.
それでも作るなら,できるだけ先のほうを使うといいでしょう.なぜなら根元のほうは折れやすいからです.また,クキのまわりに葉っぱの皮が残っていて,これがゴミのもとになるからです.
1.イネのわらを上から3〜40センチで切って先をそろえます.
2.竹の棒の周りにイネのわらをまきます.(ほうきになるくらいの量,多めに.先っぽが「はく」方ですよ)
3.麻ヒモで3ケ所ぐらいきつくしばります.
これで,いちおうの形になったと思います.学校の外用の「竹ぼうき」を参考にするといいと思いますよ.
あまり強く使うと,こわれちゃうから気をつけてね.
ゲンボー先生
メールありがとうございました。こんどは、日本の中で多くつくっている県はどこですか?よろしくおねがいします。
ゲンボー先生
ちなみちゃん.お答えします.
1位 北海道 73.9万トン
2位 新潟県 64.5万トン
3位 秋田県 55.6万トン
4位 福島県 45.1万トン
5位 宮城県 44.5万トン
です.これは2年前の1999年にとれた量です.北海道でたくさん作られているのは田んぼがたくさんあるからです.
もともと北海道では寒さのためにお米は南の函館(はこだて)のちかくでしか作られていませんでした.(江戸時代の終わりごろから明治時代のはじめの頃.今からだいたい150年くらい前)農民の長い苦労のすえ,寒さに強いお米を作ったり,客土(きゃくど=こえた土をはこんでくること)して田んぼにむいた土地を広げていきました.
北海道は世界で一番北でお米を作っているところなのです.
ゲンボー先生
今、総合学習でお米のことを調べています。そこで1つ、聞きたいことがあります。今、土のことを調べているのですが、私たちの学校田の土が、稲作に適しているかどうかを調べる方法があれば、教えてください。
もう一つお願いします。田んぼには、なぜあんな多くの生き物が集まってくるのですか?秘密があれば、教えてください。よろしくお願いいたします。
「田んぼの秘密へLet’s Go!」グループより
ゲンボー先生
みなさん,メールをありがとう.
田んぼの土が稲作に適しているかどうかを調べる方法.
1.ゴミや草の根っこが入っていてはいけません.
2.土の粒子(つぶ)が細かくなめらかな土が良い土です.
3.火山灰質は田んぼにむきません.高槻あたりだと白っぽい土かな?
稲の栄養は水からとります.ですから,ためた水が底から抜けてしまうような田んぼではいけませんね.
農家の人は田植えの前に「田おこし」といって,まず田んぼの土を耕します.こうして土をやわらかくすると共に,悪い菌や虫を殺してしまいます.
田植えの直前には「代かき(しろかき)」といって,水をはった田んぼの土をかき混ぜて細かい粒子の滑らかな土にします.田んぼの底に沈澱(ちんでん=底に沈むこと)した土は細かいので水をなかなか通しません.こうして,田植えは行われます.
それから先は花が咲いて実ができるまで水の管理が必要です.稲は成長期まで水が必要で,実が出来て成熟するころには反対に水があってはいけないのです.それに虫がついたらとらなければならないし,雑草が生えたらぬかなくてはなりません.
ですから,良いお米を作る条件は「土作り」と「水の管理」と「田んぼの管理」ということになります.土作りはそのなかでも最も大切なことです.これをしておかなければすべてがうまくいかないからです.君たちも君たちの田んぼの土作りをしっかりやって下さいね.
田んぼの土はベッドと同じなのです.良いベッドだと稲もすくすくと育ちますが,硬かったり汚かったら稲だって不快ですね・・・・
生き物がたくさんあつまってくる田んぼは生きている田んぼです.農薬や除草剤をたくさんまいた田んぼに生き物はいません.
田んぼは池と同じですから,むかしはドジョウやメダカやザリガニなんかがウヨウヨいました.ゲンゴロウやタガメも田んぼにいました.今でも琵琶湖の近くにある田んぼにはナマズがたくさん入って来て卵を産むそうです.かえったナマズの赤ちゃん達が,田んぼのなかを泳ぎ回っている光景は見ていて楽しそうですね.
フナが入って来る田んぼだってあります.トンボやバッタやカエルがいる田んぼが先生の子供の頃にはたくさんあって,そこが遊び場でした.
なぜそんなに生き物が集まるかといえば,「えさ」になるものがたくさんあるからです.プランクトンや藻を食べる小さな虫や動物がいて,それを食べる動物,稲の葉っぱを食べる虫・・・いろんな動物の種類が多くなればなるほど雪だるま式に動物が増えてきます.
不思議なことに,田んぼに水がなくなると水を必要とするドジョウやメダカは他へいってしまいます.カエルたちは冬眠にはいります.虫達も冬眠するものや卵やさなぎの形で冬を越します.田んぼの水のサイクルは自然のサイクルでもあったわけですね.
もっと知りたいことがあったらメールをください.
ゲンボー先生
龍ヶ崎西小学校の5年生、亜耶といづみと由優香といいます。今、総合的な学習で、稲のことを調べています。
そこで、陸稲と水稲の違いを知るには、どのようにすればいいでしょうか。
ゲンボー先生
みなさん,メールをありがとう. 龍ヶ崎西小学校って茨城県にある学校ですね?茨城県は日本でも有数の陸稲の産地で,農業試験場は陸稲の研究では一番進んだところです.
陸稲とは「畑」で作られる稲のこと,水稲とは「田」で作られる稲のことです.
もともと,水辺の作物だった稲ですが,稲の長い歴史の中で水が少なくても成長する特徴をそなえていきました.
一つの理由として稲がはじめて産まれた地域(インドのアッサム地方と言われています)で,稲のからだ(茎や葉)が成長するまでは雨期(雨の多い時期)で,穂を出して実をつけてから成熟する期間が乾季(雨の少ない時期)だったから,そういう性質を持てたらしいのです.
これは普通に水田で作っている稲を見ても分かることですね.田植えの時期から穂が出るころまでは水をはっていた田んぼも,その後に水を抜いてしまうでしょ.これは稲が産まれたところの環境を再現しているのです.
というわけで,稲には水が少なくても育つ性質が元々ありました.それは「遺伝子」(いでんし)に組み込まれているのです.
日本は昭和30年代のおわり頃まで「米不足」の国で,外国からお米を輸入していました.それまでは,政府が米作りをすすめることもあって,田んぼのできないところでも(つまり畑)盛んにお米が作られていました.それが陸稲です.
陸稲には長い間の経験で「水が少なくても育つ」性質のお米が使われました.このお米の特徴は根っこの生育が良く「細根」(さいこん)という細かい根がびっしりはえるというものです.そうやって土の中に含まれている水をできるだけ吸い上げているのです.
陸稲を作るためには,畑を耕してから少しだけ高い部分を帯のように作ります.幅は50cm前後です.帯と帯の間は人も歩きますが,あとで水を流す時に水路になります.種モミはその帯のはじの方にまかれます.もちろんこんな手間をかけないで作るところもあります.
水田と一番ちがうのは,苗ではなく種モミのまままく「直播き」(じかまき)だということです.
水田は「田おこし」「苗代作り」「代掻き」と田植えまでに重労働が3つもありますが(今は機械でやっていますが昔はクワやスキという道具で人の手で行っていました)陸稲は,種モミが鳥やネズミに食べられないように,「わら」をしく程度でしたから水稲に比べてずいぶんと楽でした.
そのかわり「味」が悪いということ,ととれる量が少ないというマイナス点がありました.なによりも困ったのは「連作」(れんさく=毎年同じ場所で同じ作物を作ること)ができない点でした.
水田は水によって新しい養分が運ばれ,水によって不要なものを流してくれているからです.
そういうわけで,お米が100%自給できるようになってからは特殊な用途以外の陸稲は作られなくなってしまいました.
今日では「お菓子」用のもち米として栽培されているものがほとんどです,陸稲だと水分が少ないためにねばりが強いのでお菓子やおせんべいにむいているのです.(先生の代好きな「かきもち」は茨城県の会社で作られています)
珍しい需要(じゅよう=必要として買ってくれること)としては.料亭で出す「お茶漬け」用のお米(うるち米=普通に食べるお米)ですね.同じく水分が少ないためにお茶で御飯の形がくずれないからだそうです.
僕達の家で「お茶漬け」といえば残った御飯ですが,さすがに料亭はちがう!(笑)
今日では陸稲の持つすばらしい性質(根っこが良くのびる)を水稲に取り入れて,少ない水や肥料でお米を育てる研究がすすめられています.
ちなみに,陸稲は水田で作ることが可能ですが,水稲を畑で作るのは難しいです.しかし出来ないことはありません.先生のページにもある「讃岐平野」では,平成6年の水不足の時にも最小限の水で立派にお米を作っています.そのときに,稲は精一杯根っこをのばしていたそうです.スゴイね!
昔から「水不足に飢饉無し」と言われるように,植物には水不足を補うために根っこをのばすという力を持っているんですね.陸稲もそうした性質を利用して畑向きに作られてきた稲なのです.
これでいいですか?もっと知りたいことがあったらまたメールをください.
ゲンボー先生
お米をたくさん食べるくにの数を教えてください。道徳の時間で必要なので・・・
ゲンボー先生
一路君 メールをありがとう.
お米を主食にしている国は主にアジアの人たちで,特にモンスーン気候帯に属する東アジア,東南アジア,南アジアの国々です.
モンスーン気候には「雨期」と「乾季」があります.もともと水辺の植物だった稲は,種や苗の時期から穂が出て花が咲くまでは水が必要です.実ができて熟すころに,今度はたくさんの水はいりません.
君の家の近くの田んぼも田植えの時期や夏までは水がいっぱいはっているけど,今の田んぼには水がないでしょ?田んぼの水は出したり入れたりと人間が調せつしていますが,じつはこれがモンスーンのサイクルなのです.
今は人工的にそういうかんきょうを作っていますが,ほっといても6月には梅雨があってたくさん雨がふるでしょう?梅雨は日本の雨期です.日本もモンスーン気候帯の中に属しています.(北海道はのぞきます)
アジアで一番多くお米を消費しているのはなんといっても中国,次にインド,その次がインドネシアで,これらの国々は人口が多いので国全体の量が多いのです.もちろん,タイやベトナム,カンボジア,ラオス.フィリピン,マレーシア,ミャンマー,バングラディシュ,台湾,シンガポール,韓国,日本もお米を主食にしている国です.アジアの国以外でもお米は食べられますが,主食としてではなく副食として食べられています.
中国のばあい寒い北の地方(東北部といいます)では米が育たないので昔から麦を主食にしています.ギョウザやシューマイ,マンジュウ(肉マンなど)はすべて小麦から作った皮で包まれていますね.北京料理に小麦を使ったものが多いのは,北京が華北(かほく)といって中国の北にあり,お米を作りにくかったという歴史に関係しています.
インドは南の国ですが西部は乾燥地帯で,やはりお米は作れません「ナン」とか「チャパティー」などの小麦から作るパンはこれらの地いきの人々が主食にしている物です.
小麦とお米をくらべてみると,お米の方がはるかにカロリーが高く,お米は主食としてとても優れた食べ物といわれています.アジアに人間が多いのはお米が主食だからなのです.
一時お米を食べると太るというまちがった考え方がひろまりましたが,お米を主食にバランスのとれたおかずを食べることが身体に良いことが分かったのです.君もどんどんご飯を食べてしっかり遊んでからだを強くして下さい.
さてそのお米ですが,日本は昭和30年代までず〜っと米不足の国でした.ですから昔の人はお米をとても大切にしていました.「ひと粒も残さずに食べなさい」というのが,どこの家でも言われていることで「ご飯を残すことは悪いこと」と教えられました.先生もそうした人の一人です.今でも子供達に「残しちゃだめ!」と教えています.
今では別の意味からも残しちゃダメ!ということが言えます.
世界には60億以上の人が住んでいますが,一日の食事が満足に食べられる人はそのうちの10%もいないのです.毎年1200万人の子供が食べられなくて死んでいます.つまり飢え死にです.
反対に私達の日本ではどうですか?コンビニのお弁当やハンバーガーは決められた時間がくると捨ててしまうのです.
この地球上は,一方では食べるものがなくて困っている多くの国と,食べ物があまっているごく一部の国とがあります.地球全体で作っている食べものの量は,地球上すべての人を十分に食べさせるだけあるのだそうです.つまり,豊かな国に食べ物がかたよって集まっているということですね.
このことを一路君はどう思いますか?
ゲンボー先生