そうぼうのわたり
蒼茫の渉
Soubou no watari
肥後系 | 【花容】やや垂れた平咲き 【英数】六英 【花色】瑠璃色 【開花時期】6月中旬〜下旬(2018年6月20日開花、2021年6月26日開花) |
分類 | : | 肥後系で、先端部がやや垂れた平咲きの六英花です。 |
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花被 | : | 外花被、内花被ともに花被の形状は円形で、濃い藤紫色(瑠璃、紺色)で花径は20cm程度になります。花被片は厚く、開花後開花2日めには先端部が自然に垂れて大きな花径となります。花被片の基部はぼかしたような白色です。特にアイの周辺部は白色で、この部分から周縁部に向かって白筋が短く発達し、周縁部までは白筋は達しません。周縁部はわずかに波打ちます。 |
花柱枝 | : | クリーム色がかった白色で、やや斜め上に立ち上がります。中心部には黄色の筋が入り、先端部で2裂開してずい弁を形成します。ずい弁は丸く内巻きで軸方向にまっすぐ上がっています。 |
備考 | : | 1934年(昭和9年)に西田信常氏によって育成された品種です。草丈は低く40cmほどで、花径は20cmの大輪となります。開花期間は2日程度ですが、開花当日は上の4枚のように濃い瑠璃、紺色で、2日目以降は下の4枚のように次第に濃い青色が薄れてきて藤色、または赤紫色になりなります。花柱枝が太く立ち上がって花容はつり合いが取れており、「正花」として、整然としているので、その後の肥後系品種の育種親として重宝された品種です。この形質は栽培条件が異なっていても比較的安定しており、本学でも毎年、同じような花容を見ることができます。 花器官の中心部が白色でぼかしたように見えること、白色の筋が短いので区別できます。写真では曇り空で撮影すると、紺色一色になりますが、下の4枚のように見えます。 肥後系の古花の「紫溟の秋(しめいのあき)」、「滄海(そうかい)」、「庭燎(ていりょう)」、「三鈷の松」、あるいは江戸系品種の「遊女の姿」などの品種と、花色のパターンが非常によく類似していますので、これらの品種群との類縁性などを現在、研究中です。 |
参考文献 | : | 富野耕治.1967.ハナショウブ.泰文館,東京.p69-72. 田淵俊人.2016.熊本ハナショウブの改良家―西田信常の業績(監修:柴田道夫,花野品種改良の日本史).悠書館,東京.248−250. 50. |