TOP > 花菖蒲図鑑 > 根の生育診断−茶色になった葉はすぐに取り除きます
10月に入ると、地上部の葉は茶褐色になってきます。この場合には、夏場の管理と同様に早めに外側の茶色の葉を根基から取り除きます。
葉は褐色になると、土に分解されにくい稔性の物質を分泌し、この直下の根の成長を抑制、根腐れを起こす原因になります。翌年の開花に大きな影響を及ぼすので注意が必要です。
圃場で栽培している場合には、面積が広いので作業ができません。そこで、茶褐色になった場合、一斉に葉を地上部から刈り取る作業を行います。
株基が緑色の葉の株(左)と、茶色に変色した株(右)
根の部分を見てみると、緑色をした葉の場合は(左と中)、直下の根が良く発達しています(白色の根が多い)。その一方で、茶色になった株の基部を掘り起こすと、根が腐敗して溶けていることがわかります(右)。この腐敗の影響は他の健全な株にも影響しますので、直ちに取り除く必要があります。
葉は外側から内側に向かって徐々に茶色になりますので、時間の許せる限り、茶色の葉を株基から取り除くと、地下部の根の腐敗を最小限に食い止めることが可能です。
まだ、緑色の葉を半分に切ると、光合成産物が地下部に転流せず、根の成長も切り取った段階で抑制されますので、極力、緑色の葉は最後まで残すことが重要です。