日本原産で世界に自慢できる花ってある?こんな質問を外国の方から受けたことがあります。バラ?確かに一部は品種改良に使われている…カーネーション?ナデシコの仲間であるし、「大和撫子」「ナデシコジャパン」というくらいだから、日本伝統の花かもしれないが外国から来たものであるし…。もちろん、好みは別ですよ…ありました!花菖蒲です!
日本原産で世界に誇れる花、「花菖蒲」ですが、残念なことにほとんどの人が「古い」、「地味」、あるいは「水がないと育たない」など、マイナスのイメージが強くて馴染みが薄いのではないでしょうか?その証拠にガーデニングがこれほどまでにブームであるのに、庭先に植えられているのを見ることはほとんどありません。これは大変残念なことですね。
花菖蒲は、わが国が世界に誇ることのできる伝統的な園芸植物の一つとして重要です。江戸時代に非常に多くの品種が育成され、その一部が愛好家の手によってしっかりと受け継がれて現代に至っています。ところで、花菖蒲は、アヤメ科アヤメ属の植物で(学名:Iris ensata Thunb.)、わが国の北海道、本州、九州と、朝鮮半島、およびシベリア東部の日本海を取り囲んだ地域の草原や湿地に自生する、野生のノハナショウブ(学名:Iris ensata var.spontanea Nakai)を元にして育成されたといわれています。それゆえ、特別な思いでわが国伝統の世界に誇る園芸植物といっても差し支えないでしょう。花菖蒲は、非常に多くの花色、形を持ち、江戸時代から今日に至るまで我々を魅了し続けています。ここでは、これらの魅力を余すことなく紹介していくことにしましょう。
花菖蒲が園芸植物として重要性を増したのは、江戸時代です。特に、江戸の旗本であった松平左金吾の時代には品種数が増加し、堀切(現在の葛飾区)周辺に集められていくつかの花菖蒲園ができました。当時の花菖蒲園は、武士から江戸市民の江戸っ子たちの「一大イベント会場」にまで発展して、浮世絵(今でいうブロマイド)にも描かれるようになったのです。
日本各地の水田脇や湿地に自生していた野生のノハナショウブ。いったいどのような地域に自生しているのでしょうか?ただし、自生地保護のために、場所は伏せていますことをご了解ください。