するすみ
摺墨
Surusumi
肥後系 | 【花容】垂れ咲き 【英数】六英 【花色】濃いるり色、紫/大輪 【開花時期】6月下旬 |
分類 | : | 肥後系で、垂れ咲きの六英花です。 |
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花被 | : | 濃いるり紺色で、光が当たるとやや赤紫がかった紺色になる六英花です。花径は15cm以上の大きな花です。花被片は「三鈷の松(さんこのまつ)」に似てお互いに重なり合っているので、全ての花被片が伸長しておおらかに垂れにくいようです。形状も「三鈷の松(さんこのまつ)」に似ていますが、「三鈷の松」のようにアイの先端部から白い筋が伸びることはなく草丈もやや低いよ うで約50cm程度です→「三鈷の松」を参照。写真は開花して1日経過したものですが、開ききらないままに、大きな花被片が萎れかけています。 |
花柱枝 | : | 太くて色は花被片に似たるり紺色です。肥後系の品種に特徴的な雄ずい、雌ずいが正しく並ぶ「正花(せいか)」です→「庭燎(ていりょう)」の項を参照。中心部はやや淡い白色です。ずい弁は円形で2裂に分かれ、花被片と同じるり紺色をしています。花柱枝の大きさはやや小さく見えます。 |
備考 | : | 肥後(現在の熊本県)で古くから育成されてきた品種であると言われています。「摺墨(するすみ)」の品種名は、肥後の花菖蒲の愛好家の団体(満月会→「庭燎(ていりょう)」の項を参照)によりつけられた品種名です。ここの会員であった、西田信常氏が横浜で西田衆芳園を作り、花菖蒲を販売した際に「見越しの松」と改名して販売しました(1931年)。したがって、「摺墨」と「見越しの松」は同じ品種をいうことになります。なお、肥後系の古い品種は、花の形状や花色が江戸系品種の「王昭君(おうしょうくん)」に非常に類似していることから、江戸系品種の「王昭君」から派生して育成された品種の1つとも言われています。 |