みくにやま
三国山
Mikuniyama
肥後系 | 【英数】六英 【花色】白 大輪(2019年6月26日21cm) 【開花時期】6月中〜下旬2019年は6月26日開花(花蕾が見えてから約7日目で開花、2023年は6月15日開花)) |
分類 | : | 肥後系の満月会育成の古花。花被片の中心部から先端部が垂れた、垂れ咲きの六英花です。 |
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花被片 | : | 純白色地に六英花で、左右の花被片が整う「正花」で、花径は20cmを超える大輪の品種です。花の中心部、花柱枝から雄蕊が突出して「働き花」になる場合があります。アイの基部は緑色がかった黄色で、花被片の先端部にいくにつれて黄色くなり、細長く、先端部は3〜5本が筋状となって花被片の中間まで達する場合があります。 |
花柱枝 | : | 淡い黄色で、中心線は黄色です。上に立ち上がることはなく、やや水平に位置し、先端部は2裂開してさじ弁を形成します。さじ弁の形状は、細長く、先端部は丸くなっています。ずい弁の色は、純白です。 |
備考 | : | 1890〜1891年(明治23〜24年)に、「満月会」の野田三郎八氏によって育成された古花です。この品種は、西田信常氏(→庭燎(ていりょう)を参照)によって「籬島の月(りとうのつき)」と改名されて一般化している品種です。この品種は、花蕾が見え始めてから開花するまでには約1週間程度が必要で、その間に梅雨の晴れ間などの直射日光に当たると、直ちに花被片の先端部からしおれるので、大きく開花する前に萎凋してしまうことがあります。この場合は、2番花の開花を待って観賞することもできます。草丈は90cm程度で、葉は太く(葉幅は2〜3cm)、直立します。なお、肥後系で白色の六英花は、品種間差は並べて比較しないと非常にわかりにくいです(→「白楽天」を参照)。 なお、第2花は花器官は形状は同じですが、小さくなります。満月会育成品種は、江戸系の「菖翁花」と呼ばれる品種由来ですが、本学における分子生物学的な研究の結果、江戸系の「菖翁花」の「連生の璧(れんじょうのたま)」を基にして改良したことが明らかになりました。「連生の璧」は白色ではないので、肥後地方でこの品種を使って改良を加えた結果、「三国山(満月会では「千尋の月」)が育成されたものと推察されます。 |
参考文献 | : | ・田淵俊人.2016.ハナショウブ(監修:柴田道夫,花野品種改良の日本史).悠書館,東京.246-250. ・・田淵俊人・川口聖加・日高慶士・小林孝至.2023.エステラーゼアイソザイムを用いた肥後系ハナショウブの品種群の成立に関する研究.園芸学研究. 22(1):397. |