ずいちょう
瑞兆
Zuichou
伊勢系 | 【英数】三英 【花色】 紫色 【開花時期】6月中旬(2019年は6月26日開花) |
分類 | : | 伊勢系で垂れ咲きの3英花です。紫色の筋が目立ちます。 |
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外花被 | : | 薄い紫色地に、細い紅紫色の筋が入ります。先端部周辺は、砂子のぼかし模様になっています。 |
内花被 | : | 幅の広い丸弁で、赤紫色地で周縁部には白色の覆輪があります。 |
花柱枝 | : | 白色で、周縁部は薄い赤紫色、先端部は小さく2裂開してずい弁が発達します。 ずい弁は丸くて小さく、周縁部はわずかに場に紫路になります。鋸歯はあまり入らず、の地に濃い紫色の筋が入ります。ずい弁も同じです。 |
備考 | : | 花径は約13cmの中輪花です。1936年頃(昭和11年)、吉川万吉氏によって伊勢・松坂地方で育成されたと言われています。伊勢花菖蒲は、今の三重県松坂地方で育成された品種群と、その後、三重県・津市で育成・保存されている品種群があります。これらの品種群は、江戸時代に紀州藩士の吉井定五郎によって育成されたと言われていますが、門外不出であったために、昭和になって、三重大学の冨野耕治博士によって紹介されるまでは、一般には知られていなかった品種群です。三英花であり、外花被片が大きく下垂すること、花被片に皺があることなどは、「伊勢三珍花」(ナデシコ、キクとハナショウブ)と共通する形質があります。 なお、冨野耕治博士はその後、これらの品種を用いて、花菖蒲園や一般向けに多くの伊勢系品種群を育成し、それらのいくつかは現存しています。特に、「→美吉野(みよしの)」は、昭和の中期から後期にかけて絶賛された品種で、伊勢系の花菖蒲を世間に広めたばかりか、花菖蒲の愛好家を増やすのにも大いに役立ちました。 したがって、冨野耕治博士の時代の育成品種は記録がありますが、それ以前の江戸時代からの品種になると、記録がない品種も多いのが実情です。 |
参考文献 | : | 田淵俊人.2016.ハナショウブ(監修:柴田道夫,花野品種改良の日本史).悠書館,東京.249-251. |