みよしの
美吉野
Miyoshino
新花(伊勢花容) | 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【花色】澄んだ桃 中輪 【開花時期】6月中旬 |
分類 | : | 伊勢系で垂れ咲きの三英花です。 |
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外花被 | : | 一見すると薄い桃色ですが、薄い桃地に白色の絞りが入っています。横から見るとアイは見えづらく、ハロー部分は桃色をしています。また、周縁部は波打っています。本品種は、伊勢系の中では、縮緬状構造が弱い品種です。 |
内花被 | : | 外花被と同じ薄い桃色で、縮緬のようなしわが見られます。また、内花被は上に立たず、水平に伸びています。 |
花柱枝 | : | 全体的に白みがかった桃色をしています。ずい弁は花被と同じく薄い桃色で、ずい弁には鋸歯が明瞭に見える「クモデ構造」が見られます。 |
備考 | : | 1960年頃、三重大学農学部の冨野耕治博士により育成されました。美しい桃色で、花被片が下方に優しく垂れる特徴を持っています。この形質は、花菖蒲に興味のなかった人々にもその魅力を世間に紹介する、いわば「きっかけ」になった品種です。特に、戦後復興で活気のあった昭和の時代には絶大な人気を誇っていました。この品種を見て花菖蒲に興味を持つ人が非常に多かったようです。冨野博士は伊勢地方(現在の三重県)、中でも松阪地方(まつさか、と読む)に江戸時代から存在していた「伊勢系」と呼ばれる品種群を発見し、広く世間に公表しました。伊勢地方には、いわゆる「伊勢三珍花」と呼ばれる伝統的な花(キク、ナデシコ、花菖蒲)があり、それぞれ伊勢菊、伊勢撫子、伊勢花菖蒲と呼ばれていました。いずれも、花被片が下方向に大きく垂れる特徴を持っています。したがって、伊勢系の花菖蒲品種群は、本来は鉢植えで栽培して鑑賞するものですが、冨野博士は一般の人々にも親しみやすい品種や、花菖蒲園にも向くような品種を次々と育成し、伊勢系品種の普及につとめました。→「花の品種改良の日本史」、「津の花(つのはな)」を参照。 本品種は、花菖蒲園に植え付けると、早い時期から遅い時期まで次々と開花し続け、緑色の葉で上に向かって伸びるなどの特徴があります。 |
参考文献 | : |
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