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ももよぐるま(ちひろのうみ)
百夜車(千尋の海、ちひろのうみ)
Momoyoguruma
肥後系 | 【英数】六英 【花色】瑠璃色、濃い紺色 【開花時期】6月中〜下旬2023年は6月17日開花(花蕾が見えてから約7日目で開花) |
分類 | : | 肥後系の「古花」です。大きく垂れる、垂れ咲きの六英花です。 |
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花被片 | : | 丸弁の六英花で、大きな皺、ひねりが発達します。花径は20cmを超える大輪の品種です。外花被片に該当する部分は、大きく周縁部は内巻きになり、内花被片にあたる部分は、中心部より先は大きく下垂します。花色は瑠璃色、あるいは濃い青紫色です。アイの黄色部周辺は白色となります。 |
花柱枝 | : | やや小さく、軸方向に直立します。やや幅広く、先端部でいったん狭くなり、裂開してずい弁が発達します。ずい弁は平らで先端部は細かい鋸歯状となります。色は花被片と同様に濃い青紫色です。 |
備考 | : | 1887年以前に、肥後・満月会の小山門喜氏によって育成された肥後の古花です。草丈は70pを超える高性です。花器官は大きく発達して、花色は非常に濃い紺色をしており、開花当初は黒味を帯びた藍色です。明治時代に、西田信常氏(→庭燎(ていりょう)を参照)によって「百夜車」と改名されていますが、肥後・満月会では、本来は「千尋の海」と呼ばれていました。本品種は、雄蕊が発達して「働き花」になることが多い品種ですが、写真では発達していません。 なお、本品種は江戸系の松平左金吾(菖翁)育成品種由来と考えられていますが、本学で分子生物学的に解析した結果、いわゆる「菖翁花」と合致しなかったので、肥後にわたったあと、品種改良されて独自に育成された可能性がある品種であると推察しています。 |
参考文献 | : |
・中村泰基・平松渚・田淵俊人.2009.ノハナショウブの変異性に関する研究(第11報)外花被片に見られる「とさか状突起の構造」について.園芸学研究.8(別1):412. ・田淵俊人.2016.ハナショウブ(監修:柴田道夫,花野品種改良の日本史).悠書館,東京.246-250. ・田淵俊人・川口聖加・日高慶士・小林孝至.2023.エステラーゼアイソザイムを用いた肥後系ハナショウブの品種群の成立に関する研究.園芸学研究. 22(1):397. |