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みよしの
三(深)芳野
Miyoshino
肥後系 | 【英数】三英 【花色】白地に紅の覆輪 花径20 cmの中〜大輪 【開花時期】6月初旬から中旬(2023年は6月6日に開花) |
分類 | : | 肥後系古花。平咲きの三英花です。 |
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外花被片 | : | ほぼ丸弁で、花色は白色の三英花、周縁部には幅には多少の差があるものの、紅紫色の目立つ覆輪(縁取り)が見られます。白地の先端部分は紅紫色の模様が入ります(ぼかし、と呼んでいます)。周縁部の花被覆片はややねじれていたり、あるいは軸方向に皺が入ります。 |
内花被片 | : | 小さくさじ状で太く非常に短いです。軸方向の上向きに立ち上がり、小さく、先端部がわずかに裂開して円形に近い形状です。やや内巻き。上向きに立ち、内巻きで花径も2×3p程度です。外花被片と同様に、白地に周縁部は紅紫色の縁取り(糸覆輪)が入ります。 |
花柱枝 | : | 淡い黄色で、中心線は黄色です。上に立ち上がることはなく、やや水平に位置し、先端部は2裂開してずい弁を形成します。ずい弁は小さく発達し、2裂開しますが目立ちません。先端部が紅赤紫色になります。の形状は、細長く、先端部は丸くやや内巻きです。ずい弁の先端部は紅赤紫色です。 |
備考 | : | 1867年(慶応2年)に、「肥後・「満月会」の永井好吉氏により育成された満月会の品種です。品種名は「深芳野」として知られていますが、こちらは別名で正確には三芳野だそうです。伊勢系にある「美吉野」とは全くの別品種です。 草丈は50 cm程度で低く、花茎が細いとどうしても花器官が横を向いてしまいます。 田淵ら(2023)の本学における分子生物学的なデータによれば、肥後系(古花=満月会))のうち、本品種のような三英花の育成に関係した江戸系の「菖翁花」は、立田川、帰帆、和田津海、鶴の毛衣で、満月会育成品種のうち少なくとも、6〜7品種の育成に関与していることが明らかになりました。 深芳野のほかに、秋の錦、慶瑞、君子国、なども「兄弟」に該当します。 本品種の「深芳野」は、菖翁花の「立田川」から育成されたと形態的に言われてきましたが、分子生物学的にも、「立田川」と「宇宙」が若干、混ざって育成されていることが明らかになっています。 風雨に弱く、花被片がありますが比較的うすいイメージですので、このような環境では花被片が横向きになりやすいので注意が必要です。江戸系のように室外で観賞する価値があるかもしれませんが、降雨により花菖蒲を花器官の基部が弱いと倒伏の可能性があるので注意が必要です。2023年は本学で初めて開花しました。 |
参考文献 | : |
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