げいしょううい
霓裳羽衣
Geisyouui
江戸系 | 【英数】六英〜多弁 【花色】紅紫色で白筋が入る 【開花時期】6月中旬〜下旬 2014年は6月17日開花 |
分類 | : | 江戸系品種。江戸時代に育成された「「江戸古花」です。先端部がやや垂れた平咲きで、基本的には六英ですが、雄ずいが弁化して多弁となる個体が多い品種です。 |
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花被 | : | 楕円形で波を打ったような形状です。花被片に亀裂が入って弁数が増加するように見えるものや、雄ずいが花被に分化する場合があり、しばしば雄ずいが棒状となって立ち上がって露出することもあり、個体間差があります。 花色は紅紫色地で花被片の基部は白く、基部から先端に向けて鮮やかな太い白色の筋が入ります。花被片の周縁部はごく細い白色の覆輪が入ります。 この写真の中には、上記のような複雑な形態や花色が認められます。 |
花柱枝 | : | 太く短く軸方向に立ち上がります。花柱枝自体が2裂開して先端部のずい弁が発達する場合もあります。この場合には、色は白色。花器官の中心部に多くの花被片が集まっているように見えます。先端部が軸方向に裂開してずい弁が発達します。ずい弁の形状は爪状でひねりが入ります。先端部のわずかの部分が花被片と同じ色の薄い紅紫色をしています。 |
備考 | : | 1849年以前(1846年の弘化3年作出との説もあり)に菖翁により育成された『菖翁花』であると言われていました(「宇宙」の項を参照)。
漢字が非常に読みにくい品種の一つです。現在、花菖蒲園にも保存株が少ない品種です。 花径は15cm程度、草丈は60cm程度ですので、このホームページのような大きな花には見えません(「宇宙」も同じように、花径は15cm程度です)。 菖翁著の『花菖蒲培養録(はなあやめ 培養録)』によれば、本品種の花器官の特徴について、「牡丹咲紅無地狂い」と記載されていることから、無地ではなく基部に白筋が入る点で異なっていますので、江戸時代当時に菖翁が育成した品種が現存している品種と同じであるか、疑問視されてきたこともあります(平尾、1981)。 本学での分子生物学的な調査で(菖翁花の起源であるノハナショウブ(自生地は信州・霧ヶ峰周辺と日光周辺)であるかを根拠にしています)、菖翁花であることが確認されました。本学の保存株は共同研究を行った明治神宮からの譲渡された株です。「宇宙」に似て、非常に複雑な花の構造が見られます。 |
参考文献 | : |
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