くろくも
黒雲
Kurokumo
江戸系 | 【花容】平咲き 【英数】六英 【花色】濃い紫青色 無地 【開花時期】6月中旬から下旬 2023年は6月18日開花 |
分類 | : | 江戸系の古花。平咲きで先端部が若干、下垂する程度の六英花です。 |
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外花被 | : | 円形から広楕円形で、花被片の質が硬く、軸に対して直角方向に発達、ほとんど水平に伸長します。花被片の中心部などに硬い組織があり、また、周縁部には皺を有するので花器官全体が波を打ったようになります。特に、内花被片に当たる部分は皺が大きく発達して、外花被片に該当する部分にかぶさったようになります。花被片表面には赤紫色の非常に細い脈が発達します。 花色は、濃い青紫地の単色花です。アイの黄色とのコントラストが非常に目立ちます。 |
花柱枝 | : | 水平に展開し、濃い青紫色で芯の中心部は薄い白色です。先端部は小さく裂開して、さじ状のずい弁が発達します。ほぼ水平に発達し、先端部は円形、ずい弁の色は花被と同色の青紫色です。 |
備考 | : | 1885年(明治18年)以前に育成されたと言われています。「黒雲」には、同名で肥後系品種がありますので注意が必要ですが、本品種は、花容がいわゆる江戸系品種の特徴の「平咲き」で、花被片が水平に伸長・発達し、皺があり、花被片の中心部に硬い維管束組織が発達するので、横から見ると細かく波を打ったように見えます。科学的には花被片の質が厚く、硬いことによります。花茎も硬く倒伏しにくい品種です。 なお、本学では明治神宮由来の株を維持・管理していますが、株の維持が難しい品種で、増殖が困難な品種の一つです。30年間栽培して開花を迎えたのが、わずかに数回しかありません。盛夏の根腐れに弱いので、直射日光を避けるようにして寒冷紗を張るなどをして管理をする必要があります。平尾(1981年)によれば、繁殖しやすく、切り花にも用いることがあったようです。本学では品種の混同を防ぐために鉢植えにして栽培しているため、盛夏時期には日陰で水を張り、毎日、冷水に取り換えて維持を行っています。 |