かぐらじし
神楽獅子
Kagura jishi
肥後系 | 【花容】花被片が大きくうねる八重咲き(いわゆる獅子咲き) 【英数】多弁 【花色】濃い紅紫色 【開花時期】6月下旬 2022年は6月29日開花 |
分類 | : | 肥後系花菖蒲の「肥後古花」で、花被片がひねったように咲く獅子咲き。多弁花です。 |
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花被片 | : | 円形ですが、内側(軸)に向かうにつれて楕円形から変形した細長楕円になります。花被片数は12枚程度に発達することが多く、1枚ずつの大きさは異なります。6×6cmが基本ですが、軸方向にいくにつれ6×4cm、5×3cmなど測定が不可能になります。 花被片は大きく「ひねり」が入ります。花色はくすんだ紅紫色。花被片全体に皺が入ります。アイはやや尖りますが、あまり見えません。花被片の基部がへこんでいるので(底と言ってます)、にねるようにして開花すると考えられます。 |
雄蕊 | : | この写真の花では、花柱枝の中心部分から雄しべが数本、発達して突出しています。これを「働花」と言っていますが、このよう に花被片にいわゆる「狂い」が多く生じるのが肥後系品種の特徴の一つです。 |
花柱枝 | : | 中心部で小さく立ち上がり、濃い紫色の地ですが、「にねったように」ねじ曲がります。肥後古花では、花柱枝はまっすぐに伸長して太いことが基本ですが、この品種はその点において大きく異なっています。先端部のずい弁は花被片化しています。先端部には細かい鋸歯が見られます。花被片に隠れてあまり見えないことが多いです。 |
備考 | : | 花径は18cm、花茎長は50cmで花茎は太く、しっかりとしています。紅紫色の花被片が多く重なるようにして立ち上がります。晩生の品種で、30℃を超える日が続くと一気に開花しますが、多く水をあげて花被片が展開するようにする必要があります。 西田信常氏が1929年に育成した品種です。肥後花菖蒲を広く 普及した人物として有名ですが、この品種は西田氏が作出した品種の中でも、快心の傑作品種(冨野,1967)であるとされています。 |
文献 | : | 富野耕治.1967.ハナショウブ.泰文館,東京.pp70−72. 田淵俊人.2016.肥後ハナショウブの改良家―熊本ハナショウブと西田信常氏業績.柴田道夫監修『花の品種改良の日本史』悠書館,東京.248−250. |