きょうまい
京舞
Kyoumai
新花(肥後花容) | 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【花色】紅紫色砂子 【開花時期】5月下旬 2021年は5月29日開花 2022年は6月4日開花の極早生品種。 |
分類 | : | 新花(肥後花容であるが、伊勢花容にも見える)、垂れ咲きの三英花です。 |
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外花被 | : | 形状は円形で、花被片は大きく波打っています(10×10cm)。周縁部も著しく波打ってフリルが入ります。花色は、紅紫色で砂子(非常に細かい、紅紫色の粒のような細胞が白色地に混ざる)、基部は白色で周縁部に向かって薄い白色の筋が絞り状に発達します。周縁部には明瞭な白色の糸覆輪が発達します。花径は20cm程度、花茎長は50cm前後です。 |
内花被 | : | さじ状で先端部は丸く、花柱枝とともに軸方向に直立します(3×4cm)。周縁分はややフリルが入ります。花色は紅紫色の砂子模様で、白色の斑点状の絞りがあります。周縁部は、外花被覆片と同様に、明瞭な白色の糸覆輪が発達します。 |
花柱枝 | : | 太く、内花被片と同じ位置で軸方向にややねじれるように直立します。しばしば、個体により、爪状の突起、「クレスト状構造」が見られることがあります(平松ら、2011)。これは、シャガ、イチハツなどの他のアヤメ科植物にも見られる現象です。花柱枝の色は白色で周縁部は紅紫色です。先端部は複雑に裂けてずい弁が形成されます。ずい弁は周縁部はくも手状となり、紅紫色、周縁部は白色の細い糸覆輪が入ります。 |
備考 | : | 1978年から1985年の間(昭和53年から昭和60年の間)に光田義男氏により育成されました。花全体が赤紫色で大きく、花被片全体が大きく波打ってフリル状です。開花後2日目まで花被片が伸展するのに伴い、フリルの程度はやや弱くなります(写真では下段の4枚)。光田義男氏の育成品種は肥後系が主で、豪華絢爛に見える品種が多いのが特徴です。株自体の繁殖力の弱いものが多いので、花菖蒲園などのように群生させて鑑賞する場所ではあまり見かけず、鉢植えで庭、ベランダなどで栽培するのに向いています。花被片の厚さが薄いので、開花時期には、風による倒伏や隣の株との接触は極力、避けるなどの注意が必要です。花色は実際にはこの写真よりも明るい紅赤紫色で、室内や曇り空の日には、青味がかった紫色に見えます(→写真撮影の方法を参照)。紅紫色の砂子地に白色の糸覆輪が非常に目立ちます。このような白色の覆輪形質の細胞構造や後代に遺伝する様式についての詳細が、本学の研究で明らかになりました。本品種は育種素材として有用ですが花粉量が少ないのが難点です。 本品種は、5月20日過ぎから花蕾が伸長し、5月末には開花する極早生品種です。平均気温が20℃を超える日が30日以上続く年には、より一層、開花が早くなります。一般的に肥後系の品種は「晩生」の品種が多く、ほとんどが6月中旬から開花するものが多い中で、「京舞」のような肥後系品種は、極早生で豪華な花を早期に鑑賞できるので非常に有用です。 |
文献 | : |
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