ぼんでん
梵天
Bonden
肥後系 | 【花容】平咲きで先端がやや垂れる 【英数】 六英 【花色】 純白 【開花時期】 6月下旬 2022年は6月23日開花 晩生 |
分類 | : | 肥後系の「古花」です。平咲きで先端部がやや垂れる六英花です。 |
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花被片 | : | 大きい花被片は円形で(6×5cm)、小さい花被片は楕円形で(6×4cm)、花被片表面に細かい縮緬状構造が発達、周縁部は細かく波打ってフリルが入ります。非常に襞が多いのが特徴です。弁の質が薄いので戸外での栽培で、特に風が強い日には注意が必要です。花色は純白です。アイの部分は緑色がかった黄色で、花被片の中心部分まで細く、長く伸長しています。 |
花柱枝 | : | 花柱枝は、軸斜め方向に立ち上がり、途中で分岐して2裂開する個体があります。その結果として、花柱枝の数が3本以上に多くなることもあります。やや薄い黄色味がかったクリーム色で、先端部にくも手状のさじ弁が横に広く発達して直立するので、非常に特徴的です。中心部から雄しべが発達した樋弁(といべん)や「飾り弁」、「働き弁」などが発達する個体があります。この写真の個体では、雄しべが飛び出しています。 |
備考 | : | 花径は15cmで、花茎長は50cm、花被片は襞が多く、薄く垂れやすいです。「ぼんでん」と呼んでいます。1887年(明治20年)以前に、肥後(現在の熊本県)の花の愛好家の組織、花連の荘野市助氏によって育成された「肥後古花」の品種です。 雄しべが多く、複雑な花容をしています。本学では、なかなか開花に至らず、ようやく開花にこぎつけました。花茎が細く、花首も弱いので折れないように注意する必要があります。多肥栽培では特に弱くなります。 なお、本品種名はのちの肥後花菖蒲の「花連」の集まりである、『満月会』の品種名です。西田信常氏が横浜で販売した際の品種名は、「紅芙蓉」としています。「紅芙蓉」は「梵天」とは全く異なる花容、花色(紅紫色)をしていますので、注意が必要です。 |
参考文献 | : | 田淵俊人.2016.肥後ハナショウブの成立.『花の品種改良の日本史』((監修:柴田道夫).悠書館,東京.246-248. 冨野耕治.1967.花菖蒲.泰書館,68. |