えんかいしゅう
沿海州
Enkaisyu
江戸系 | 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 すっきりした花形で最も早咲き 【開花時期】5月初旬〜中旬 撮影:2018年5月16日(知野奈苗、唐澤健太) |
分類 | : | 江戸系で垂れ咲きの三英花です。 |
---|---|---|
外花被 | : | 濃い紅紫地にわずかな紫色の筋が入っており、地の色は中心部が濃く、周縁部に行くにつれ徐々に薄くなっていきます。アイの色は黄色で先端に向かって尖っており、ハローは濃い紅赤紫色で黄色のアイが目立ちます。 |
内花被 | : | 全体が薄紫色で花色は一色のみです。内花被片が立弁なのも特徴の一つです。 |
花柱枝 | : | 内花被と同じく色は薄紫一色のみです。やや白色の糸覆輪があります。長いのでしばしば外花被のアイを隠しているように見えます。 ずい弁は、円形で先端部は2裂となり内巻きとなっています。 |
備考 | : | 1987年(昭和62年)に吉江系の小仙女という品種に、早咲きのロシア・沿海州付近に自生するノハナショウブを交配して育成したと言われています。極早咲きの品種で5月初旬に開花する場合があります。この品種は、ノハナショウブに外観が非常に類似していますので栽培品種とは思えないように見えます。昭和時代に作られた花菖蒲園では、開花期間を延長して鑑賞期間をできるだけ長くできるようにする必要があるようです。しかし、現在、地球規模の環境変化によりわが国では温暖化が進み、逆に5月初旬から開花する傾向にあります。俗に「サクラ前線」、と言う言葉がありますが、サクラの品種‘ソメイヨシノ’の開花時期が、南から北に向かって進むことを言います。本学のある東京都町田市において、「同じ条件下で栽培をした場合には」、野生種のノハナショウブは、‘ソメイヨシノ’とは逆に、北方地方が自生地のものから開花する傾向にあります。本学では栽培方法により開花時期を変えることのできる研究を進めています。 |
引用文献 | : | Tabuchi et al.,2008;唐澤,2017未発表 |