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    更新日 2025年12月10日

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花菖蒲図鑑

TOP > 花菖蒲図鑑 > 品種一覧-あ行 > 一迫

いちはさま

一迫

野生(例外) 【花容】やや垂れた平咲き 【英数】3〜5英 【花色】白 薄紫の細筋、あるいは被覆片の半分が紫色になる場合があります。 野生のノハナショウブに類似した形態です。【開花時期】6月中旬(2008年は5月20日開花、2016年は6月14日開花)

外花被 : 形状は非常に細長く、幅が狭く先端に向かうにつれてやや幅広く「さじ状」になることがあります。また、個体によっては幅広く「さじ状」になる場合もあります。細長く伸長する場合には、隣り合う花被片との間の隙間が大きくなりますが、形状に関わらず、基部では隙間が大きいです。
花被片数は基本的には4〜5枚で、年次変化があり、株が小さい場合は3枚、大株になると6枚になることがあります(写真下段の右から2つめ)。この場合には花被片は発達せず、細長く伸長しています。
花被片が細長い場合には厚さが非常に薄いので、周縁部は内側に巻いたようになります。幅が広くさじ状のものは垂れ咲きになる傾向が強いです。
花色の基調色は白色ですが、白地にわずかな紫色の筋や砂子模様、花被片の半分に紫色が入り絞り模様になる場合など年次変化が見られます。アイの色は黄色で先端部近くまで細く伸びるのが特徴です。なお、下段の4枚の写真は本学での実生株の開花したものです。
内花被 : 非常に細長く、軸方向にまっすぐ立ち上がり、先端部は著しく尖るのが特徴です。厚さは外花被片と同様に非常に薄いので、降雨にあたると軸と垂直方向に横に伸長しているように見えます。花被片数は、外花被数とは合致せず、3〜4枚の場合が多いです。外花被片の間に位置しています。色は白色で、筋の色は見られないため内花被は一色のみです。
花柱枝 : 基本的には、外花被の上に位置するので、その数に応じた数になりますが、外花被数が4枚の場合でも花柱枝数は3枚のこともあります。外花被片数が4〜5枚の場合には、その数に応じて花被片の上に付着するようにして伸長します。細長く、先端部は2裂開してずい弁が発達し、そのまま外花被片に沿って伸長し、ずい弁の先端部はやや内巻きになりますが、完全には湾曲しません。基本的には、白色で周縁部はわずかに紫色が入ることがあり個体差があります。
備考 : 野生種で、宮城県の宮城県栗原市の山王史跡公園のあやめ園に植栽されていたもので、1984年に平尾秀一氏は長井品種群由来としているようですが、不明です。
本学では、この「一迫」につき、その由来を現在研究中(2025年)です。野生種に非常に近いです。花茎は非常に細く、草丈は40cm程度、葉は非常に細く、0.5cmから1cm程度で直立します。
この株から得られた種子による実生株が多く普及していますので、品種名は「一迫実生」としている場合もあります。実生株が多いので外花被片数などが変化します。
なお、本学では他の自生地から採取したノハナショウブの中にこのような形態の変異、花色の形態変異を見出しています。この場合は、紫色の4英花ですので、みちのくの「花勝見」伝説とほぼ同じものを再現した形になります(こちらも、現在研究中、近く発表予定、2025年)。
参考文献 :
  1. 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸.第103集.p46−50. 京都府立植物園.
  2. 田淵俊人.2015.日本固有植物と文化 (1)ノハナショウブと農村文化日本固有 植物の保全に向けた提言 (1)日本の風土が育んできた、固有の 植物と文化の関係 『花かつみ伝説』に見られる園芸文化.日本固有植物と文化ー生態系の喪失が日本固有植物に及ぼした影響とこれら植物の保全について−p13−14,23−29.花と緑の博覧会,大阪.
  3. 田淵俊人.2014.伝統園芸植物の保全とナショナルコレクション」−「古典園芸植物の花菖蒲−その起源となったノハナショウブの文化財、遺伝資源としての保存」.公益社団法人 日本植物園協会 平成26年度 第2階植物研究会 要旨(代表:岩科司).

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