いずみがわ
泉川
Izumigawa
江戸系 | 【花容】 平咲き 【英数】六英 【花色】白色で 紫の細い筋 中輪 【開花時期】6月中旬〜下旬 2022年は6月20日開花 2023年は6月18日開花 |
分類 | : | 江戸系の「古花」で、平咲きの六英花です。 |
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花被 | : | 円形で大きい花被片(6×4cm)、小さい花被片は(4×3cm)で、花色は、白色か灰色に見える地に、非常に細い藤色の筋が入ります。年によっては非常に淡い赤紫色の白色地に、紫色の筋が入る個体も出現します(写真下の4枚)。花被片はやや内巻きになり、うねったように、ゆるやかに波打っています。アイの黄色は筋に合わせて外側に黄色い筋が伸びます。 |
花柱枝 | : | 全体的に花被片の大きさと比較して小さく、色は淡い藤色で基部から裂開します。周縁部は白色、先端部にはずい弁が発達します。ずい弁は2〜3裂片となり淡い藤色で、先端部はやや内巻で細かい鋸歯が発達し、白色です。 |
備考 | : | 1835年(天保6年)頃、江戸時代の後期に江戸・堀切一帯(現在の葛飾区)の花菖蒲園の一つ、小高園の二代目、小高伊左衛門によって育成されたと言われています(→花の品種改良の日本史参照)。花被片の筋は細く、青紫色ですが、白地あるいは灰色がかった白地(くすんでいる)ので、筋が目立って見えます。「神代の昔」(→神代の昔参照)に似ていると言われていますが、由来は異なります。 泉川のように、筋が入っているように見える個体は、年によって筋(脈、正しくは維管束)の色や太さには個体差による違いが見られ、この写真では最後の4枚のようにやや薄く赤味がかっているような個体や、筋が見にくく淡い個体も出現しますので、注意が必要です。筋の色が褪せていても基本的には、ややウエーブのかかった平咲きの形質で見分けられます。 草丈は70p以上になる高性です。花径15cm程度で平咲きで、典型的ないわゆる江戸系の品種の特徴を表しています。株の大きさと比較して花器官は小さいので、群生して観賞するのに適します。本学での繁殖力もあまり強くないので、無理に株分けをしないようにし、盛夏の暑さに耐えるように日よけをして維持・管理を行っています。 近年は、この品種によく似た、非常に生育旺盛な新花、「水玉星」などに置き換えられていますので、品種の同定には注意が必要です。 |
文献 | : | 田淵俊人.2016.江戸ハナショウブの普及―わが国最初の花菖蒲園・小高園の開設.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫監修).悠書館,東京.240-241. |