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あるふぇろふ
アルフェロフ
Alferov
海外(例外) | 【花容】平咲きで先端部は垂れる(花容で見ると、江戸花容) 【英数】三英 【花色】濃い赤紫色,縁部には白色の糸覆輪が入る 【開花時期】5月下旬〜(2018年5月23日撮影、2022年は6月3日開花)で極早咲きの品種。 |
分類 | : | ロシアに自生するノハナショウブと、品種不明の花菖蒲を交配して育成されたといわれています。品種名はカタカナですが、アメリカ人による育成品種ではなく、交配した江戸系品種名も不明なので、便宜上、本ホームページでは「海外品種(例外)」として分類しました。花容は、平咲きで開花が進むと花被片の先端から垂れて咲くので、花容による分類では「江戸花容」の三英花です。 |
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外花被 | : | 花被片の形状はほぼ円形(6×5cm)です。赤紫色の地に細い濃紫色の筋が入ります。ハローの部分は特に濃い赤紫色で、曇り空や日陰では、花色が濃い紫色(ビロード色)に見えることがあります。肩の部分は内巻きで、伊勢系品種のようなフリル(皺状)の構造が見られます。周縁部にはごく細い、白色の糸状の覆輪(糸覆輪)が入ります。 |
内花被 | : | 形状はさじ状で直立。軸方向の長さは短く、幅広で一見すると大きい弁があるように見えます(2×1cm)。先端部はやや内側に巻きます。花色は外花被よりは薄い赤紫色で、外花被と同様に白色の糸覆輪が入ります。中心部(底)は淡い赤紫色か白色です。 |
花柱枝 | : | 薄い赤紫色で、中心部は赤紫色で周縁部は濃い青紫色です。周縁部には白色の糸覆輪が入ります。ずい弁は細長い楕円形(さじ状)で先端部は2裂に裂開し、先端部はやや上部に立ち上がります。ずい弁の色はクリーム色の地に赤紫色の絣が見られ、周縁部は白色の糸覆輪が入ります。 |
備考 | : | ポイント:一見すると、野生のノハナショウブを大きくしたような花容を有する品種で、赤紫色を基調にして花被片の周縁部に白い覆輪があります。 鉢植えでは草丈は低く40cmほどです。花径は12〜15cmの中輪です。 株の生育状態により花色に濃淡が現れ、赤紫色が薄い花では凝視しないと目立たないこともあります。花菖蒲の品種群の中では開花時期は最も早く、5月下旬から6月上旬に開花する「極早生」の品種ですので、開園はじめに観賞することができる品種です。なお、葉は直立しています。 |
撮影法 (曇天) |
: | 花菖蒲の写真撮影は、花色を的確に表現するのが難しいです。直射日光の元では白く飛んでしまい、暗いと変色するか濃い花色になります。雨天では花の形状が乱れがちになり、花色を形成する色素が溶け出してしまいます(アントシアニン系の水溶性色素で構成されている)。また、伊勢系のように皺のある品種や、花被片が薄くて構造上弱い品種では花菖蒲園での撮影はかなり制限されます。 薄曇りや曇天の元では比較的、品種特有の花色を表現しやすくなります。 ホームページに掲載した写真は、雲の切れ間から日が差し込む曇天下で撮影したものです。鉢植えなので、雨天の場合には屋根下に持っていき撮影します。 本品種は花色が質感のある濃い紫色なので(いわゆるビロード)、全体的に暗くならないようにします。直射日光の下で撮影すると薄い赤紫色になり、ハローの部分の濃い色が表現されにくくなります。伊勢系品種と同様に、垂れ咲きの品種なので、斜め上や真横からの視点で観賞すると立体的な花容構造を表現することができます。 撮影法はこちら |
引用文献 | : | 田淵俊人. 2014. 日本伝統の園芸植物,ハナショウブの特性に関する研究 4. アメリカ品種群について園学研.(Hort. Res. (Japan)) (別) 2: 507. |