TOP > 研究テーマ01「トマト」 > 01-1. 野生種トマトとは? - 卒業研究を行った学生の声
生物資源学科 植物機能開発科学領域の学生たち
暑い日が多く天気を気にしながらの学生生活を満喫しています
野生種トマトの色素の機能性について知りたくて卒業研究のテーマに選びました。野生種トマトは日本のような高温多湿な所では非常に育てにくく、果実がとれないと卒業研究の実験ができないので苦労しましたが、熟すと紫色になるトマトを発見したときには感動しました。この研究で園芸学会で発表を行うことができました。
いろいろと卒論のテーマを迷いましたが、野生種のトマトの中には葉や果実に特殊な腺毛が発生して、ねばねばとした液を分泌し、それが害虫をひっつけてしまうことを発見しました。この種を使うことで低農薬でトマト栽培ができる可能性が広がればいいと思っています。私の場合もこの研究で園芸学会で発表をすることができました。
私は当初から地球環境問題に興味がありました。特に問題になっているのは砂漠化と塩類集積の問題です。野生種のトマトの中には塩類や乾燥に大変強いものがあることを知り、さっそくテーマにして研究に取り組みました。その結果、海岸線に自生する野生種は確かに耐塩性があって、実用化の可能性が広がりました。しかし、驚いたことにアンデス山地の標高の高い地域に自生するものにも耐塩性の強い系統があることがわかりました。しかも、これらのトマトは寒さにも乾燥にも強いのでさらなる研究が望まれます。この論文は昨年の国際園芸学会で発表され、私自身は園芸学会で発表し大きな反響を得ることができました。地球環境問題を考えていく上でも貴重な経験であったと思いました。
野生種のトマト、中でもナス属に近いといわれているSolanum rickii とS.ochranthum について、その果実成分はまったく不明であるので、その研究に取りつかれています。
特に、S.ochranthum については10年ぶりに果実をつけましたのでその成分分析に注目しています。これらの研究の一部は2007年の園芸学会で発表しいい感触を得ることができました。
受験生へのメッセージ
私は、野生種のトマトを栽培し、その果実を用いた遺伝資源としての有用性の探索を行っています。トマトの果実にはリコぺンやβカロテン、クロロフィルなどの色素が含まれていて、栽培種のトマトの赤色は「リぺピン」という色素によるものです。一方で、野生種のトマトには、リコペンは含まれずにクロロフィルが多く含まれる緑熟種や、リコピンがとても多く含まれるもの、βカロテンが多く含まれるものなどさまざまな種類があります。自生地では、これらの野生種は雑草のようにあちこちに自生しているようですが、これらは栽培種のトマトが持っていないような有用性を持っていると考えているので、本大学の温室では、これらの貴重な野生種のトマトを保護していく目的でも管理を行っています。この夏の時期は、日々の水やりがとても大変です。でも、日々水をあげていると、普段気がつかない細かなところまで気づくことができ、「昨日まではなかったけど今日は実がついてるな、今日は元気だな」とか日々新しい発見をすることができ、それが楽しみでもあります。また、一生懸命育ててきた実が収穫できるときや、その色素を分析できるときは、「この果実にはどんな色素が入っているんだろう」と、毎回わくわくしながら分析をしています。私は、今までの野生種のトマトの栽培や管理等を通して、毎日新しい発見があるということを改めて実感しました。皆さんは、普段生活していて毎日が同じ事の繰り返し…と感じてしまうことがあると思いますが、必ず昨日よりも良い発見があると思います。その発見は多いから良いわけではなくて、一つあれば十分です。ぜひ、今の時期に、日々違う自分の良い面や、普段の生活の何気ない所で新しい発見をみつけていってほしいと思います。その積み重ねで「自分がやりたいこと、向いてること」が分かってくると思うので、常に好奇心を忘れずに過ごして、楽しい毎日を過ごしてください。
私は野生種のトマトの耐塩性について取り組んでいます。塩類に強いトマトが育成できれば世界に貢献できうると思ったからです。すでに高等学校のときから、大学に入学したら野生種のトマトの魅力について研究しようと思っていましたので、たくさんの種子がある研究室なので、まだまだ知られていない塩類に強い野生種トマトを見つけ出そうと思っています。私も園芸学会で発表し多くの勉強をすることができました。
受験生へのメッセージ
自分の家は農家で小さい頃から植物に触れる機会が多く、農業というものに興味を持ち高校・大学で農学を学んでいます。トマトの野生種が持つ対塩性に興味をもったのは、高校生の時に玉川大学のパンフレットを見たときです。パンフレットには海水でも育つトマトがあると書かれてあり、身近な野菜のトマトにこんな特徴を持っているのに驚き、いま研究をしているところです。研究をして新しい結果も、知らない結果を出すことはとても嬉しいし楽しいことです。勉強は大変ですが自分がやりたい研究ができてとても楽しいです。みなさんも大学に入ってやりたいことなど、目的を持って入学すると大学生活4年間がとても楽しくなると思いますよ!!
野生種トマトの耐塩性について、深く調べてみたいと思い日々、栽培に取り組んでいます。
今は栽培段階ですが、植物体が大きく育ってきたので、根の先端部でアポトーシスが起こっているかどうか、塩類に対して植物がどうやって防御しようとしているか研究をしたいと思っています。園芸学会で発表した際に、非常にためになる意見を戴いたのでさらに精進する予定でいます。
受験生へのメッセージ
私は大学で野生種のトマトにさまざまな環境に対する抵抗性があることを学び、興味を持ちました。塩類による作物への害が世界的問題になっていますが、私は野生種のトマトの中から塩類に強いものを見つけて、この遺伝子を園芸品種に取り入れ、耐塩性のあるトマトを作る研究をしています。その中で注目しているのは「アポトーシス」といわれる現象です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、生物はアポトーシス・増殖・分化のバランスが保たれることで生存しているので、実は大変身近な現象なのです。私はこのようなハイレベルの研究を卒業研究でできるのが大きな魅力だと感じています。受験生の皆さんにとって今は大変な時期でしょうが、本学はやりたいことを形にできる大学です。勉学以外でも部活やサークル活動も盛んで有意義なキャンパスライフを満喫できると思います。是非頑張ってください!
トマトの中には、葉の表面に粘液を出して害虫を付着してしまうものがあります。野生種の中にしかありません。そのような粘液がどうして出るのか、どのような成分であるのか、興味の尽きないところです。栽培は極めて順調であるので時間をかけて分泌腺細胞の検出と、酵素のビジュアル化を行っていく予定です。将来的には栽培種との間で雑種を育成して粘性を分泌することが遺伝するのか、さらに調べていきたいと思っています。
受験生へのメッセージ
私は高校や短大で多くの時間を植物と共に過ごし、植物やそれに関することについてさらに学びたいと考え、短大を卒業後本学の農学部に編入学しました。卒業論文では普段皆さんが食べている通常のトマトとは別の、野生種のトマトを用いた研究を行っています。野生種のトマトは単純に食べるのには適していませんが、塩害に強いもの、葉に虫を付着させるものなど、通常のトマトにはない様々な特性を持っており有用な特性の調査やその利用方法について日々模索しています。また野生種トマトは通常のトマトとは栽培方法が異なり、中には世界で本学にしか残っていないトマトもあるため、上手く生育させられるよう管理を十分に行うのも重要な仕事の一つです!私が卒業論文で行っているテーマは、葉や茎などに虫を付着させるトマトについての研究です。このトマトの果実は緑色で食べることはできないのですが、葉や茎などの表面が腺毛というネバネバした液体を出す毛に覆われており、この効果によって虫を付着させ悪さをさせないようにしているのです。農薬をあまり使わないで栽培できるトマトができるかもしれません。ところが元々自生していた地域の環境を見直してみると、腺毛の本来の働きは虫を付着させることではないということがわかりました。ある特性を持った植物について、その特性から本来の働きとは違った利用法を見つけ出す、これもまた研究を行う中で大きな楽しみの一つだと思います!
葉や果実にねばねばした毛をもつ野生種のトマト(L.(S.)pennellii)。この毛にくっつけられたハモグリバエ