言語は、人間の知的活動を支える重要な役割を果たしています。言語を扱うための言語処理・認知能力は周囲との相互作用により、誕生後数年間に飛躍的に発達を遂げます。この発達の過程とメカニズムについては、研究が進められてきてはいるものの未だ明らかになっていないことが多く残されています。これらを行動、生理、脳科学など多角的な観点から解明することは、教育や治療の場に役立つばかりでなく、人間と効率的にコミュニケーションするロボットの開発にも寄与することができます。
そこで言語情報研究センターは、科学的根拠に立てる教育をめざす言語発達の基礎研究と、それを実際に教育現場で応用するための教材・教育プログラムの開発を行っています。
研究部門は「赤ちゃんラボ」において、乳幼児の言語・認知発達に焦点を当てた行動実験と観察を中心に進めています。玉川学園の幼稚部・低学年での長期的発達調査のほか、学外の保育園や企業と連携したネットでの調査を行い、大規模データの収集も行っています。
教材・教育プログラム部門では、早期学習や児童・第二言語学習者を対象とした外国語教育分野での新たな教授法や教材を開発し、その配信・発信にも力を注いでいます。例えば町田市の小学校全42校対象に、英語のカリキュラムや指導法の配信を行っています。
教育開発部門では、英語の会話における音声や作文力を自動的に判断し、e-learningを通して学習できるシステムなどの開発にも力を入れています。また、毎年、シンポジウム「Tamagawa InForum」として、言語科学・情報科学の最先端の研究者による講演会や、「赤ちゃんフォーラム」として、言語や認知発達の国内外の研究者によるシンポジウムを行っています。このシンポジウムはご興味のある一般の方まで幅広く対象にしており、赤ちゃんラボ会員の保護者の方々も多数参加されています。