日時 | 2006年12月11日(月) |
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発案者 | 樋田栄揮(玉川大学) / 吉田和子(奈良先端技術大学) |
ニホンザルのMST野およびMT野における神経細胞のvisual flowに対する反応特性とvisual flowに対するヒトの知覚特性を比較しながら検討した。
眼球、首、体の運動などの自己運動によって生ずる広視野運動情報(visual flow)は、姿勢の制御、歩行や乗り物の運転など自己運動の制御および自己と周囲の空間把握のためにきわめて重要な役割を果たす。マカクザル等の霊長類では、広視野運動情報はV1、MTからMST野にいたる経路における視覚運動情報の段階的統合を経て、MST野背側部に存在する特定のvisual flowモードに選択的に反応する細胞群によって検出・分析されていると考えられている。本研究では、
以上の3つの問題について、ニホンザルのMST野およびMT野における神経細胞のvisual flowに対する反応特性とvisual flowに対するヒトの知覚特性を比較しながら検討した。
被験者の行動・観測履歴から、脳内の推定位置とそれに対する確信度を逐次的ベイズ法により推定したところ、確信度の強さと前部前頭前野の活動度が相関することを明らかになった。
実環境から得られる情報は不完全で不正確であるため、不観測状態(隠れ状態) を推定によって補うことが有効になる。機械学習の分野では、このような環境における意思決定は部分観測マルコフ決定過程(POMDP)として定式化される。POMDPでは、観測と行動履歴から隠れた真の状態を「信念状態」として推定し、信念状態を用いて環境のダイナミクスを同定し、予測に基づく行動選択を行う。
推定と予測に基づく情報処理過程は、ヒトの意思決定過程としても妥当である。我々は、POMDPを解くための主要な要素が脳前頭前野で実現されると提案し、隠れ状態の推定、すなわち信念形成に関わる脳部位を明らかにするために、部分観測迷路課題を用いたfMRI実験を行った。
本課題において、被験者にとって現在位置は隠れ状態であり、観測履歴から推定する必要がある。被験者の行動・観測履歴から、脳内の推定位置とそれに対する確信度を逐次的ベイズ法により推定したところ、確信度の強さと前部前頭前野の活動度が相関することを明らかになった。