花色の変異(注意:本学の調査によれば、このような花色の変異は、自然状態ではごくわずかの確率でレベルでしか出現しません。自然状態では、1年間に1回しか受粉・受精して種子を着けませんので(それも発芽し生育、開花するまでに3年はかかります)、長い年月の中でこのような変異が出る確率はごくわずかになります。ただし、一か所に多くの個体を人為的に集めて、毎年に渡って熱心に交配し続け、播種個体数を増やした場合、野生のノハナショウブの場合には、花色の変異の確率は自生地の場合よりは若干高くなりますが、それでも自生地の状態と同じか少し高くなる程度です。栽培種の「花菖蒲」を育成した菖翁は、これを父の代から繰り返し、約50年以上をかけて花色の変異を発見していますので、それを裏付ける証拠になっています。例外として:野生のノハナショウブの側に色の変わった栽培品種を植えて、両者の間で交配が行われた場合には、(「遺伝子侵食」とも呼んでいます)、両者の間で雑種が形成され、雑種第1代では野生のノハナショウブになりますが(顕性、以前は優性といっていた)、その後、これらから得た種子を播種し続けると、潜性(以前は劣性と呼んでいました)の個体が表現型として出現し、中には花色の変異が出現する確率が増えてきます。しかし、菖翁が、野生のノハナショウブを用いて栽培品種を育成したような年月(50年以上の長い年月)を必要とします。伊勢地方のノハナショウブも、同様に長い年月をかけて現在の「伊勢系」と呼ばれる品種群を育成したと考えられます。以下に掲載した写真は、ノハナショウブの自生地に行けば、いつでも見られるわけでhないことに注意してください。また、この場所にいけば見られるという場所もありません。本学では30年にわたり、全国各地の自生地をめぐり、1年間に100万個体以上を調査し、それらの中から万という個体の中から、せいぜい以下の数の個体が見られた、という写真です。なお、3英花が6英花になる確率は環境変異を受けやすく、6英花を本学で栽培すると元の3英花になります。本学の調査では、30年間で、毎年6英花が出現する個体は、3個体のみとなっています。
1.標準花色(赤紫色) |
2.濃い赤紫色 |
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3.濃い青紫色 |
4.淡い赤紫色(ハローが赤紫色) |
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5.藤色(やや赤紫色を帯びる) |
6.藤色(青紫色を帯びる) |
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7.白色 |
8.ピンク色(桃色) |
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9.青色 |
10.外花被の弁の基部が薄いタイプ |
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花柱枝が白いタイプ(外花被片の色:濃い赤紫色) |
花柱枝が白いタイプ(外花被片の色:青色) |
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花柱枝が白いタイプ(外花被片の色:赤紫色) |
14.ハロー(黄色いアイの周辺部)が青いタイプ |