玉川大学「教員養成推進プログラム」
学長メッセージ
教員養成GPとは
玉川大学のプログラム
共同申請プログラム
お問い合わせ
HOME

共同申請プログラム

教育プロジェクトの内容及び実施計画について

1.本プロジェクトの内容:7大学がコンソーシアムを形成し「連携講座」を実施する
(1) 「教育の今日的課題」への対応の必要性
現在、小中学校の現場は、児童生徒の学ぶ意欲の低下や規範意識の低下、学校の危機管理への対応といった様々な新たな課題(教育の今日的課題)を抱えており、これらを解決し得る力量を持った教師が求められている。
我々国・私立の7大学(宮城教育大学、茨城大学、筑波大学、千葉大学、東京学芸大学、玉川大学、大阪教育大学)は、こうした状況に対応するため、東北、関東、関西にまたがる広域の大学コンソーシアムを形成し、現職教師の研修に高い実績を有する独立行政法人教員研修センターの協力も得て、各大学間の密接な連携協力の下、小中学校教師向けの高度な内容の研修(以下「連携講座」という。)を実施することとした。
各大学においては、これまでも、教師を対象とした研修を自ら行ったり、学校や教育委員会が企画する研修に協力するなど、現職教師の資質向上に取り組んできている。こうした豊富な実績を基に、学校現場が直面し解決に苦慮している教育の今日的課題について、各大学が連携協力して高いレベルの研修を行うものである。
(2) 「連携講座」の特徴
我々は、本プロジェクトの企画に当たって、次の点に留意することとした。
ア) 現職教師のニーズに合った連携講座とするため、学校現場と緊密に連携し、大学における理論研究と小中学校における実践を融合させること。
イ) 教育の今日的課題解決に資する高度な内容とすること。
ウ) コンソーシアムによる大学間連携の効果を最大限発揮すること。
エ) コンソーシアムや連携講座で得られた成果を教員養成課程の改善につなげること。
まず、ア)については、教育委員会関係者からの聞き取り調査を行い、現在学校はどのような課題を抱えているのかを把握した。その結果を表1に示す。連携講座は、これらの内容について実施することとした。
次に、イ)・ウ)については、教員養成系大学に限らず広い地域に所在する国・私立大学が連携し、教員研修センターの協力も得て、それぞれの強みを生かし合うことにより、高いレベルの連携講座を実施することが可能となった。
エ)については、コンソーシアムを組み連携講座を協同して実施することにより、他大学が持つ資源を共有できるとともに、学校現場と連携することで真に教師に求められる資質能力が把握でき、教員養成カリキュラムの改善につなげることができる。

  表1:教育の今日的課題の例
スクールリーダーの養成   カリキュラム・マネジメント
小学校における理科指導法の充実   小学校における芸術指導法の充実
小学校における英語指導法の開発   学校における実践的研究法の普及
教師のコミュニケーション能力向上   子ども理解、子ども臨床
特別支援教育への対応   学校の危機管理
(関東近県の教育委員会からの聞き取り調査:2004(平成16)年)

2.「連携講座」の具体的な進め方:多様な内容の講座群の設定
(1)
  <図2>
 
コンソーシアムの運営方法
コンソーシアムには、構成7大学の教職員からなる運営委員会(事務局:筑波大学)を置き、コンソーシアム全体の運営や連携講座の企画・立案、大学、学校・教育委員会等との連絡調整等を行う。 また、評価委員会(詳細は「教育プロジェクトの評価体制について」参照)を置き、連携講座とコンソーシアムのシステムについての評価結果を運営委員会にフィードバックする。(その他、外部評価委員会も設置する)
(2) 連携講座の実施方法(専門性と利便性の調和)
連携講座の実施方法としては、講座の目的や受講者の便宜等を考慮して、表2の3パターンを設ける。
表2 連携講座の実施方法
実施方法の名称 実施場所 主な受講対象者 講座の目的・内容
広域集中型
(2005年度)
(独)教員研修センター
大学等
指導主事・地域の中核的教師等 今日的課題に関する各地の指導的人材を集め、長期休業等を利用して集中的に高度な内容の研修を行うもの。修了者は大学教員とともに、地域拠点型の講師も務める。
地域拠点型
(2005・2006年度)
都道府県教育センター等の研修機関
大学等
各学校の中核的な教師等 今日的課題に対応するため、複数の地域において、週末等に、当該地域の教師に対して実践的な研修を行うもの。年度毎に開催地を替えることにより、多数の教師が受講できるようにする。
eラーニング型
(2005・2006年度)
複数の大学等
各学校の中核的な教師等 eラーニングを活用して、今日的課題について同時に多数の教師に対し研修を行うもの。
まず、広域集中型においては、各大学の教員が連携協力して高度な研修(単なる講義だけではなく、演習・実技、討議、ワークショップなど多角的・実践的な内容とする。)を行うことにより、教育の今日的課題に関する各地の指導的人材(指導主事・中核的教師等)を養成し、そうした人材が地域拠点型の講師や教育委員会等の主催する研修会の指導者等となることによって、連携講座の効果を広く浸透させることを狙っている。
また、地域拠点型やeラーニング型においては、各大学の教員や広域集中型の修了者等が、教育の今日的課題に関する実践的な研修を各学校の中核的な教師等に対し行うことにより、学校における積極的な取組を促すことを狙っている。その際、年度毎に複数の拠点で実施する(地域拠点型では毎年開催地を替える)ことにより、多くの教師が参加できるようにするとともに、週末や長期休業中など開催時期を工夫することで、勤務しながら全国レベルの研修を受講できるようにする。

3.「連携講座」の具体的内容:10の「教育の今日的課題」に向けた取組
(1) 2005(平成17)年度に広域集中型を行い、2006(平成18)年度に地域拠点型を実施するもの
連携講座1:スクールリーダーシップ
目的 学校が自己革新を図りつつ自主的・自立的な経営ができるよう、スクールリーダーとしての専門的力量を形成する。(実施責任大学:筑波大学)
実施計画 2005(平成17)年度
【広域集中型】
開催地 (独)教員研修センター
定員 100人
期間 4日間(連続)
内容 学校経営ビジョンと戦略の開発
カリキュラム・指導組織のマネジメント
学校-地域関係のマネジメント
学校評価を生かす組織開発など
(講義、討議、ワークショップ)
2006(平成18)年度
【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 東京、大阪(*大阪教育大学)
定員 各80人
期間 6日間(週末)
内容 学校経営ビジョンと戦略の開発
カリキュラム・指導組織のマネジメント
学校-地域関係のマネジメント
学校評価を生かす組織開発など
(講義、討議、ワークショップ)
実施体制 2005(平成17)年度
筑波大を中心に千葉大、東京学芸大、大阪教育大の教員を講師とする。
ワークショップには、筑波大の大学院生も補助者として参加する。
2006(平成18)年度
筑波大を中心に千葉大、東京学芸大、大阪教育大の教員を講師とする。
ワークショップには、前年度受講した開催地の指導主事等も参加する。
(注) 実施責任大学: その連携講座の企画・実施の中心となる大学
  共同実施大学: 地域拠点型において実施責任大学とともに実施の中心となる大学

連携講座2:カリキュラムマネジメント
目的 特色あるカリキュラムの開発とマネジメントに関する実践的な能力の育成を図る。(実施責任大学:東京学芸大学)
実施計画 2005(平成17)年度
【広域集中型】
開催地 (独)教員研修センター
定員 40人
期間 5日間(連続)
内容 カリキュラム改革の動向とカリキュラム開発
カリキュラム開発とマネジメントの過程
学校改善と組織マネジメント
子どもの成長と校種間のカリキュラムの接続
教科・領域間の関連・合科・総合
カリキュラムの評価と改善など
(課題協議、事例研究、演習)
2006(平成18)年度
【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 宮城(*宮城教育大学)、東京
定員 各40人
期間 2日間
内容 カリキュラム開発とマネジメントの過程
特色ある教育活動づくりの実践
次年度の自校のカリキュラムデザインなど
(課題協議、事例研究、演習)
実施体制 2005(平成17)年度
東京学芸大を中心に他の構成大学等の教員を講師とする。
事例研究においては、附属学校教師も事例発表者として参加する。
2006(平成18)年度
東京学芸大を中心に宮城教育大等の教員を講師とする。また、前年度受講した開催地の指導主事・中核的な教師等も講師として参加する。
事例発表においては、特色あるカリキュラムづくりの実践校の教師も事例発表者として参加する。

連携講座3:教師のためのこころとからだづくり
目的 児童生徒とのコミュニケーションなど教師が他者とのコミュニケーションを深めるための「こころ」と「からだ」づくりについて、体験的理解を図る。(実施責任大学:茨城大学)
実施計画 2005(平成17)年度
【広域集中型】
開催地 (独)教員研修センター
定員 30人
期間 4日間(連続)
内容 「こころ」と「からだ」に関して、コミュニケーション技能の向上につながる内容(心理理解、身体理解、身体的コミュニケーション、コーチング、こころとからだの文化、精神医学等)(講義、演習)
2006(平成18)年度
【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 茨城、東京(*玉川大学)
定員 各30人
期間 4日間(連続)
内容 「こころ」と「からだ」に関して、コミュニケーション技能の向上につながる内容(心理理解、身体理解、身体的コミュニケーション、コーチング、こころとからだの文化、精神医学等)(講義、演習)
実施体制 2005(平成17)年度
茨城大を中心に外部講師(精神科医)も委嘱する。
2006(平成18)年度
茨城大を中心に玉川大の教員を講師とする。外部講師(精神科医)も委嘱する。

(2) 2005(平成17)年度、2006(平成18)年度で開催地を替えて地域拠点型を実施するもの
連携講座4:小学校の理科教育(理科を専攻してこなかった教師向け)
目的 小学校における理科教育の充実のため、特に理科を専攻してこなかった教師向けに実験・実習や指導法の研修を行う。(実施責任大学:東京学芸大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2005(平成17)年度 東京学芸大学、都教職員研修センター
  
2006(平成18)年度 千葉(*千葉大学)
定員 50人
期間 8日間
内容 安全な理科実験、工作、自然観察、理科の指導法など(実験・実習、ワークショップ)
実施体制
東京学芸大を中心に他の構成大学(2006年度は千葉大等)の教員を講師とする。
指導主事等も参加するほか、大学院生も補助者として加わる。

連携講座5:小学校の英語教育
目的 小学校における英語の指導力をつけるため、実践的ワークショップを行う。(実施責任大学:東京学芸大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2005(平成17)年度 東京学芸大学、荒川区
  
2006(平成18)年度 茨城(*筑波大学)
定員 30人
期間 8日間
内容 小学校における英語指導の基本、ことばの習得理論、早期英語教育についてなど。(ワークショップ)
実施体制
東京学芸大を中心に他の構成大学(2006年度は筑波大学)の教員を講師とする。
指導主事等も参加するほか、大学院生も補助者として加わる。

連携講座6:小学校の芸術教育
目的 小学校における音楽、図画工作、生活科等の教科で、自律的・主体的に勤務校や周辺の教育資源を生かして指導計画を立案できる専門的力量を育成する。(実施責任大学:玉川大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2005(平成17)年度 玉川大学
  
2006(平成18)年度 大阪(*大阪教育大学)
定員 30〜50人
期間 2日間(連続)
内容 低学年のための音楽指導、和太鼓の演奏・指導、自然素材を生かした玩具の製作と指導、音楽劇の指導(演習・実技、講義)
実施体制
玉川大を中心に他の構成大学(2006年度は大阪教育大等)の教員を講師とする。
大学院生も補助者として参加する。

連携講座7:学校における実践的研究法(アクションリサーチ)
目的 各学校、各教師がそれぞれの教育課題を解決するために研究的実践・実践的研究を行う。意欲と力量を育成し、向上し続ける学校、教師の形成を目指す。(実施責任大学:千葉大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2005(平成17)年度 千葉大学
  
2006(平成18)年度 茨城(*筑波大学)
定員 50人
期間 7日間(週末)
内容 アクションリサーチの勧め、授業実践研究としてのアクションリサーチ、指導法改善を目指したアクションリサーチ、アクションリサーチの実際と課題 など(講義、討議、事例研究)
実施体制
2005(平成17)年度は、千葉大を中心に東京学芸大、筑波大の教員を講師とする。
2006(平成18)年度は、千葉大、筑波大を中心に東京学芸大の教員を講師とする。

連携講座8:子ども臨床
目的 子どものメンタルな部分への理解を深め、不登校、引きこもり、無気力などの問題を抱えている児童生徒への支援についての研修を図る。(実施責任大学:筑波大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2006(平成18)年度 宮城(*宮城教育大学)
○2005(平成17)年度は、筑波大学附属学校の児童生徒を事例として研修プログラムを開発する。
定員 50人
期間 7日間
内容 苦戦する子どもの学校生活の援助、子どもと学級集団の援助
怒りをコントロールできない子ども、スクールカウンセラーの活用 など
(講義、演習、臨床研究)
実施体制
2005(平成17)年度は、筑波大学附属学校教師の協力を得て研修プログラムを開発する。
2006(平成18)年度は、筑波大を中心に東京学芸大、千葉大、大阪教育大等の教員を講師とする。

連携講座9:学校の危機管理
目的 最近の児童生徒に対する犯罪の発生状況や特徴的傾向を踏まえ、危機管理意識の重要性や学校としての安全管理の在り方を研修する。(実施責任大学:大阪教育大学)
実施計画 【地域拠点型】 *は共同実施大学
開催地 2005(平成17)年度 大阪教育大学
  
2006(平成18)年度 東京(*東京学芸大学、筑波大学)
定員 100人
期間 7日間(週末)
内容 学校の危機管理
学校における安全対策・救急救命
特別活動の危機管理
学校災害被害児童・生徒の立ち直り支援とPTSDなど
(講義、事例研究、実技)
実施体制
2005(平成17)年度は、大阪教育大を中心に筑波大や他の大学の教員、府教育委員会、府警察本部等の協力を得て実施する。
2006(平成18)年度は、大阪教育大を中心に東京学芸大、筑波大の教員や都の協力を得て実施する。

(3) インターネットの双方向型テレビ会議システムを使って隔地間で同時に実施するもの
連携講座10:特別支援教育コーディネーターのスキルアップ
目的 特別支援教育コーディネーターの上位研修として、一層のスキルアップを図る。(実施責任大学:宮城教育大学)
実施計画 2005(平成17)年度
【eラーニング型】
開催地 宮城教育大、筑波大、東京学芸大、大阪教育大
期間 10日間
内容 インターネットによる双方向型テレビ会議システムを活用し、特別支援教育コーディネーターの養成講座修了者に対するスキルアップのための研修を実施<試行>
2006(平成18)年度
【eラーニング型】
開催地 宮城教育大、筑波大(東京キャンパスを含む)、東京学芸大、大阪教育大
期間 10日間
内容 インターネットによる双方向型テレビ会議システムを活用し、特別支援教育コーディネーターの養成講座修了者に対するスキルアップのための研修を実施<本格実施>
実施体制
宮城教育大を中心に筑波大、東京学芸大、大阪教育大等の教員を講師とする。
インターネットによる双方向型テレビ会議システムを活用するため、講師や受講者は最寄の開催地で参加が可能。

4.実施計画:2005(平成17)年度は連携講座の企画・立案と実施、2006(平成18)年度は連携講座の実施と評価、今後の展開の検討
本プロジェクトは、2005(平成17)年度と2006(平成18)年度の2年計画で実施する。
まず、2005(平成17)年度は、コンソーシアムの運営委員会において全体調整を図りながら、実施責任大学において他大学や受講希望の小中学校・教育委員会等との調整を行い、連携講座の詳細を決定し、実施する。そして、その結果についてコンソーシアムの評価委員会で内部評価を行い、次年度の計画に反映させる。
2006(平成18)年度は、引き続き連携講座を実施する。そして、その結果を評価委員会で内部評価するとともに、外部評価委員会による評価も受けて、2007(平成19)年度以降の取組の検討につなげていく(詳細は「教育プロジェクトの評価体制について」参照)。

前ページ 次ページ

教育プロジェクトの特色
教育プロジェクトの有効性
教育プロジェクトの評価体制
共同申請プログラムに戻る

このページのトップに戻る