館蔵資料の紹介 2024年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2024年 > 最後の審判
マカール・ドゥルージニン 画
板 テンペラ 縦118.7×横77.0cm
ロシア 1815年
世界の終末の日、キリストが再臨し、人々の裁きをおこなうという、キリスト教の終末観をあらわした大型のイコン。画面右下部の銘文から、1815年6月24日にヴォルガ川流域の商業都市キネシマ市において、イコン画家マカール・ドゥルージニンが描いたことがわかる。
画面は上下6段の構成をとり、上の2段が天上界である。最上段の中央に父なる神が君臨し、2段目の中央には父なる神から審判の権限を与えられたキリストが座している。3段目は地上界で人間たちが裁きを受ける場面を描き、罪悪の化身である大竜が地獄からはい上がるように身をくねらせている。4段目は悪魔たちがのさばる死者の国であり、5段目には鎖につながれて地獄の入り口に進む罪人たち、最下段には地獄の闇のなかで罪人たちが永遠の苦しみを受ける様子を描いている。
明瞭な画面構成と多様なモチーフの配置によって、最後の審判の情景を描写したこのイコンは、信徒たちに世界の終末についての具体的なイメージを示して、キリスト教への信仰を促すために用いられたものだったのだろう。