館蔵資料の紹介 2024年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2024年 > 浅鉢形土器
東京都町田市 本部台遺跡出土
縄文時代中期(勝坂(かつさか)2式)
口径11.5×器高6.7cm
手におさまるほどの大きさの浅鉢形あるいは皿形の土器で、縄文時代中期中頃のものである。玉川学園の構内、現在は保健センター 健康院と旧KEYAKI食堂の間に広場として保存されている、本部台(ほんぶだい)遺跡の第7号住居址から出土した。発掘調査の際、伏せた状態で出土したため、現れた丸い無文の底面を、初めは石だと誤認していたが、掘りあげたら土器であることに気付いたそうである。
口までの高さは5cm、口径と底径がほぼ同じ大きさで、胴下部がほんの少しふくらむ器形をしている。口に1カ所、環状把手(とつて)という突起状の装飾が付いている。胴部全面に縄文が、口縁の外端部にヘラ状工具で刻目文(きざみめもん)が施される。内面と口唇部に、ベンガラ(酸化鉄)と推定される赤色顔料が塗られていた痕跡が残る。ほとんど割れておらず、ごく僅かな欠失部がある以外、完形の状態で出土した。
何を容れたのであろうか、やや特殊な形状をしており、赤彩(せきさい)もされていることから、特別な用途の土器であった可能性が考えられる。