館蔵資料の紹介 2024年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2024年 > J.S.バッハ作曲《無伴奏チェロ組曲》
紙 印刷 縦33.4×横27.0cm
ドイツ:Steingräber社 37ページ 初版は1898(明治31)年
「ガスパール・カサド 原智恵子コレクション」所収
「チェロの旧約聖書」とも称されるJ.S.バッハの《無伴奏チェロ組曲》は全部で6作あり、それぞれ前奏曲といくつかの古典的な舞踏曲から成っている。アンハルト=ケーテン侯国の宮廷楽長時代(1717−23)に作曲された。
この譜面は第6番ニ長調BWV1012の第2曲アルマンドと第3曲クーラント部分で、持ち主であったスペインのチェリスト、ガスパール・カサド(1897−1966)による演奏のための指使いやフレージング、表情記号となるアーティキュレーションなどがびっしりと書き込まれている。このような演奏家の使用した楽譜(手沢本)は、自身の頭と身体を使い音楽的な主張を発展させてアプローチする演奏家の音楽解釈や演奏表現を知るうえで、大変な興味をそそられる。楽譜をどう読んで、どう聴かせるか、作品に対する解釈は百人百様。だから音楽はおもしろい。
1957年、カサドはこの全曲をVOXレーベルにて録音した。高貴さと繊細な音楽性を持った情熱と気迫のある演奏を、いまも聴くことができる。