館蔵資料の紹介 2024年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2024年 > 『少女世界』第二巻第一號附録 少年少女 小學敎科雙六
巖谷小波 考案 尾竹國觀 画 博文館発行
紙 印刷 縦78.5×横55.0cm 1907(明治40)年
この双六(すごろく)は、少女雑誌『少女世界』の附録として作られた。考案したのは雑誌の編集・発行者で児童文学者・お伽噺(とぎばなし)作家の巌谷小波(いわやさざなみ)(1870−1933)、作画は日本画家尾竹国観(1880−1945)である。
振り出しの「登校」から、上がりの下校風景「退場」まで、30マスからなる。遠足会・談話会という行事もあるが、多くは各教科の授業風景が描かれたマスとなっている。四周の丸で囲んだ学用品などは、駒にしたのか。図中の道具に着目すると、子どもは天板を跳ね上げると物入れになる2人机と、長椅子を使っている。また、歴史のマスでは黒板に掛図(かけず)をかけ、算術では教壇上で大型の算盤(そろばん)が使われるなど、当時の学校の様子を知ることができる。
子どもたちの一部は洋装だが、多くは着物姿である。履物も和洋が混在する。ただし袴を着け、野外では男子は学生帽をかぶるなど、ある程度理想的な児童の姿として描かれたと考えられる。教室風景が現在と大きく異なるのは、男女別に学級編成されている点であろう。