玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

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館蔵資料の紹介 2023年

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荷田春満 筆蹟

荷田春満 筆蹟

和歌懐紙 紙本墨書 掛軸装
縦27.2×横39.3㎝ 江戸時代中期

恐らく12月であろう、冬の日の情景を詠んだ和歌懐紙である。作者は東丸と署名しているが、江戸中期の国学者、荷田春満(かだのあずままろ)(1669−1736)である。
「冬の日に雪中友を尋ぬるを詠める和歌」と題し、「たゝす(たず)みて 柴のあみとを 叩く間に そて(で)にも雪の つもりけるかな」とある。友人の草庵の戸を叩く際に、着物の袖に付くほど雪が強く降っていたのか、道中で雪にまみれたということか、あるいは友人が留守で、雪の中戸外でその帰りを待っていたのであろうか。
春満は、京都の稲荷神社(現伏見稲荷大社)の神官、羽倉家に生まれた。稲荷神社に奉仕したほか、神道や和歌、歴史や律令の研究を行い、国学の発展に大きな影響を与えた。学問教授で身を立てようと、3度江戸に出て、幕府関係の仕事をしたり、幕臣の質問に答えたりするなど、学問的交流を続けた。
春満とその最晩年に入門した弟子賀茂真淵(かものまぶち)(1697−1769)、さらにその学統に連なる本居宣長(もとおりのりなが)(1730−1801)、平田篤胤(ひらたあつたね)(1776−1843)の4人を、国学の四大人(したいじん(しうし))という。

「全人」2023年12月号(No.888)より

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