館蔵資料の紹介 2023年
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青木美知枝 画 キャンバスに油彩
縦97.0×横130.3㎝ 1987年
濃緑色の茫漠とした空間に、壺や花瓶、秋枯れの枝葉や木の実が置かれている。各モチーフの描写は堅実だが、色調を抑えた画面には静謐な趣が漂う。
青木美知枝(1928−2014)は現在の千葉県野田市に生まれ、46年に東京美術学校油画科に入学し、同校の女子第一期生として安井曾太郎教室に学んだ。在学中の48年から女流画家協会展に出品し、卒業後の53年には一水会展に初入選するなど、主に女流画家協会と一水会を舞台に制作活動を続けた。63年には自身の健康回復を願って、雅号を本名の節子から美知枝に改めている。
6歳年上の姉純子は夫の鈴木満と玉川学園7丁目にアトリエと住まいを構えて洋画家として活動していたが、満の没後、87年に美知枝が純子のもとに転居、晩年までともに絵筆をとった。
堅実な写実表現は師の安井にならうものであるが、幻想的ともいえる静謐な表現に美知枝の絵画の特色がある。生来病弱で内向的な性格であった美知枝は、自らの心情を投影することで、独自性の強い絵画表現を開拓していったのだろう。