館蔵資料の紹介 2023年
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青木純子 画 キャンバスに油彩
縦65.5×横53.0㎝ 1980年
千葉県野田市に5人妹弟の長女として生まれた青木純子(すみこ)(1922‐2016)は女学校で東京美術学校や太平洋美術学校出身の教師に絵画の教えを受け、卒業後は画業に専念する。1942(昭和17)年、朱葉(しゆよう)会入選、太平洋画会展出品でデビュー。また女流画家協会や示現会の創立にも携わり、女流画家の地位向上や新人育成にも力を入れた。 身近な風景や静物画を描いていた青木が新たな画境を築く契機となったのは、初の海外旅行で触れた絵画の源流への衝撃と、大病に侵された身で臨んだ手術のための麻酔の中で聴いた、人形たちの声である。以後、人間の心を人形に仮託した、その中に夢を織り込めた作品を求め続ける。
青木純子は人形の家に棲んでいる。仲間がそう呼んだ玉川学園のアトリエには、赤ん坊から老人、小間使いから貴婦人、浮浪者からピエロまでと多種多様の人形で充たされていた。
大空にまばたく星を仰ぎ、心の想いを打ち明けて呟いた願い事……。作者が自身の娘時代への思いを馳せた本作品。おんなになりきらない清純な乙女らはいま、何を想うのだろう。