館蔵資料の紹介 2022年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2022年 > 彩陶単耳長頸壷
中国 黄河上流域
前2200~前2000年頃
口径11.2×器高25.9cm 戸田哲也氏寄贈
中国の新石器時代後期の文化で、黄河上流域の甘粛省・青海省付近に分布していたものとして、馬家窯(ばかよう)文化(前3100〜前2000年頃)が知られている。あるいは甘粛仰韶(ぎようきよう)文化と呼ぶこともあり、日本の縄文時代中期に並行する時期にあたる。馬家窯文化は、石嶺下(せきれいか)・馬家窯・半山(はんざん)・馬廠(ばしょう)の4類型(時期)に分けられ、写真の土器は、最も新しい段階である、馬廠類型の資料である。
成形をした後に、粘土をドロドロに溶いた化粧土をかけ、丁寧に表面を磨く。その後、顔料で文様を描いてから焼き上げたものを、彩陶と呼ぶ。本資料は、黒色顔料で口縁直下と頸部に貝文(かいもん)、頸と胴の境目に網目状の文様を描く。胴部には人体のようにも見える文様があるが、その腕にあたるものは、長く鈎(かぎ)の手状に巻いており、人蛙文(じんあもん)と回文(かいもん)の折衷の文様と見られる。さらに文様が描かれた範囲全面に、赤色顔料を塗り込めている。頸部から胴部への屈曲部に、環状の耳が1つ付けられる。耳と対称側の胴部の最も張り出した部分に、小さな舌状の突起を持つが、これも馬廠類型の土器に見られる特徴の1つである。