館蔵資料の紹介 2022年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2022年 > 演奏会チラシ 三浦 環 原 智恵子 戰艦献納音樂會
公演日:1943年7月5日 日比谷公会堂
紙、印刷 縦25.5×横18.2cm『ガスパール・カサド 原智恵子コレクション』所収
1943年7月5日、収容人数は最大で3、000席を超える日比谷公会堂にて三浦環(たまき)(1884−1946)と原智恵子(1914−2001)による戰艦献納音樂會が行われた。64年と昨年に開催された東京オリンピックに因んだ朝のドラマでは、三浦環がモデルの歌手が存在感を放っていたのも記憶に新しい。
軍費のためにと国民が能動的に献金する様が見られたのは明治中期頃からで、献納機運が高まった第2次世界大戦時下において活発化、国民の戦意高揚にも力を貸すこととなる。
中央に描かれた碇(いかり)は、音楽会のタイトルと目的をはっきりと象徴しており、知名度と人気の高い2人の音楽家が、音楽で国の力になろうとする様子が感じられる。
同年1月、内務省がジャズなど米英楽曲の演奏やレコードを禁じている。本演奏会の曲目と作曲家の出身国は日本以外ではオーストリア、ドイツ、ロシア、イタリア、フランスと当時の友邦だ。音楽は何ができるのか、誰が音楽を使うのか、音楽の目的をどこに置くのか、改めて考えるきっかけになる資料である。