館蔵資料の紹介 2021年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2021年 > 小學普通體操法 巻上・下
坪井玄道、田中盛業 編纂 墨摺 版本
1884(明治17)年 縦18.6×横12.5㎝
1872(明治5)年頒布の「学制」は、公的機関が設置した日本初の教育法令である。そのなかで、体術改め「体操」が示されたことにあたり、日本政府は学校体操の振興をはかるべく、米国人医師リーランド(1850-1924)を招聘して1878(明治11)年に体操伝習所を開設。生理学、解剖学など医学的理論に基づいた「体育」の実践を行う。
伝習所最初の教科書として1882(明治15)年に出版された『新撰體操書』『新制體操法』を補足するために刊行された本書は、リーランドと共に教壇に立った坪井玄道と、伝習所を卒業し教員となった田中盛業が編纂した。徒手體操、珠竿體操など9つから成り、前述の2冊同様、英国人の学者スペンサー(1820-1903)が提唱した知育、徳育、体育の三育主義に基づく。拍子を取って両手両足を前後左右に動かすなど、その変化に富む動作は、移動を伴わないのに息が切れるほどである。
開催中の企画展では、学芸員資格科目「博物館実習」履修生が本書を解読し、実践と動画の撮影に挑戦した。ご来場の方にもぜひ体験していただきたい。