館蔵資料の紹介 2020年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2020年 > ニルス・ブツク氏 丁抹(デンマーク)基本體操の詳說と指導案例
齋藤由理男 著 現代敎育社 発行 紙 印刷
縦18.6×横10.3㎝ 1932(昭和7)年
ニルス・ブック(1880−1950)は、デンマーク・オレロップ国民高等体操学校の創立者である。ブックの主唱したデンマーク体操は、日本の学校教育で採用されていたスウェーデン体操や、点数を競う体操競技とは異なる。身体各部の基本の運動を、結合・複合・連続して組み立てて身体の正常な発育を促し、柔軟で力強く、器用さに富んだ、社会生活・家庭生活を営むにふさわしい身体をつくるための体操である。
本書は、ブックの体操の基本理念・構成・指導法のほか、施設・用具・服装まで写真入りで解説した上で、男女の少年・青年向けの指導事例を紹介している。
著者の齋藤由理男(さいとうゆりお)(1902−1945)は、玉川学園開校時の体操教員で、1930(昭和5)年から1年間、オレロップに留学して本場のデンマーク体操を学ぶと共に、玉川学園等によるブック一行の日本招聘(しょうへい)の調整役を担った。帰国後は学園内外での体操講習会で講師を務め、デンマーク体操の普及に邁進(まいしん)し、それが国鉄・海軍・陸軍航空部隊等に導入される素地をつくった。体操指導に札幌へ赴く際、乗船した青函連絡船が米軍機に撃沈され、命を落とした。終戦の1月前のことである。