館蔵資料の紹介 2019年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2019年 > アカフタオハチドリ
A.B.ベヴァレ 画 銅版手彩色 縦22.8×横14.7㎝
1830〜1832年
「羽ばたく宝石」と呼ばれるハチドリは約350種が南北アメリカ大陸に分布しているが、大多数は中南米の熱帯・亜熱帯地域に生息している。一般的に金属のような光沢がある羽毛と花の蜜を吸う細長いくちばし、そしてホバリング(停滞飛行)で知られる鳥である。
この図版はR・P・レッソンの『ハチドリの自然史』という図譜に含まれている一枚である。レッソン(1794〜1849)はフランスの軍医、博物学者で、1821年から23年に世界一周航海を行ったコキーユ号に船医として乗船し、各地の動植物の研究と標本の収集を行った。
『ハチドリの自然史』は図譜と解説本の2冊からなり、ハチドリだけを取り上げた世界初の博物書として有名な稀覯本である。図譜の絵は博物画を得意とした画家のべヴァレとJ・G・ プレートルが手がけ、全85図で構成されている。図版はすべて銅版画(エッチング)で、色彩は手彩色である。各ハチドリとも止まり木との組み合わせで描かれていることが、構図の特徴である。