館蔵資料の紹介 2019年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2019年 > 『ナンセンスの本』(A Book of Nonsense)
エドワード・リア著・画 Thomas Mclean発行
石版印刷 縦14.4×横22.5㎝ 1856年
エドワード・リア(Edward Lear 1812〜1888)は、子どもの頃から博物図譜の模写を通じ、写実画の技を身につけていった。18歳でオウム・インコの図譜出版を計画し、各所で標本等の模写を行う過程で、ロンドン動物学協会附属博物館のジョン・グールドと知り合ったとみられる。
グールドが計画した一連の鳥類図譜出版に当たり、リアは『オオハシ科鳥類図譜』や『ヨーロッパ鳥類図譜』等の原画を担当し、初期のグールド工房を絵師として支えた。
後にグールドの下を離れたリアは、画家としての活動のほかに、ヨーロッパ各地を旅し、詩人としても活躍した。その詩は、韻を踏んだ5行の定型詩で、内容は奔放で機知に富み、さらに73篇の詩のすべてにリア本人の筆による挿絵が加えられ、詩のもつ諧謔的な世界をさらに豊かなものにしている。リアの詩は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と並び、ナンセンス文学の双璧とも称される。
『ナンセンスの絵本』等の邦題で、本書の訳書がいくつか出版されている。