玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
全人掲載年

玉川大学教育博物館
〒194-8610
東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8656
Fax:042-739-8654
mail:museum@tamagawa.ac.jp

館蔵資料の紹介 2019年

玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2019年 > 『幼年の友』 臨時増刊 五月五日お節句號

『幼年の友』 臨時増刊 五月五日お節句號

『幼年の友』 臨時増刊 五月五日お節句號

第七巻第六號 實業之日本社(發行)
縦22.0×横15.3㎝ 1915(大正4)年

今回、紹介する資料は1915(大正4)年発行の幼児向け雑誌『幼年の友 臨時増刊 五月五日お節句號』である。表紙には鯉のぼりの中に、兄弟を連想させる3人の男児が可愛らしく描かれている。上段の大きな真鯉の少年は学帽を被り、双眼鏡を手に好奇心に満ちた表情だ。中段の緋鯉の男児は、自分の弟なのか、下段の真鯉の幼児に玩具のようなものを与え、その子は嬉しげに手を伸ばしている。

本資料は大正期のものであるが、江戸文化の名残がどことなくある。糸綴じであるところは、江戸や明治初期の和装本とのつながりを感じる。絵には洋館らしい建物も見えるが、日本家屋からは錦絵に描かれる江戸の街並みが想起される。

この雑誌は東京、京橋の實業之日本社で発行されているが、当時の東京の街並みは関東大震災被災以前ということもあり、江戸情緒が色濃かったようだ。

太平洋戦争期、この絵の男児たちは30代位の年齢になる。彼らがどのような成人期をおくったのか想像すると、何ともいえないもの悲しい気分になる。

「全人」2019年5月号(No.838)より

前の記事を見る  次の記事を見る

玉川大学教育博物館

このページの一番上に戻る