館蔵資料の紹介 2019年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2019年 > 春が來た(一)櫻の花
小學國語讀本掛圖 第二學年 前期第一編 第一圖
淺黄俊次郎他編纂 日本ノート學用品株式會社発行・印刷
縦77.5×横53.5㎝ 1934(昭和9)年
山を背景にして桜の花が描かれた本図は、小学2年生用の国語教科書第一章の唱歌《春が来た》の歌詞を題材にした掛図である。高野辰之作詞、岡野貞一作曲の《春が来た》は、191 0(明治43)年の文部省著作『尋常小學讀本唱歌』に掲載されて以来、春を代表する唱歌として有名になった。
この唱歌は、春の訪れの喜びが「春が来た」「花が咲く」「鳥が鳴く」という節で構成されているが、本図は「春が来た」の部分に相当し、続く第二図が「花が咲く」「鳥が鳴く」として桃の花とウグイスを描いた図になっている。
『小學國語讀本』は1933(昭和8)から1938(昭和13)年にかけて発行された教科書である。この時期の国語教科書は、当時の児童中心主義の思想や児童文化運動などを背景に、童謡、童話、自由詩、自由綴り方、児童演劇などの文芸題材を取り入れた教育内容が多くなっているのが特徴的である。また、明治から昭和の前半にかけて、国語の掛図は民間の教育関連出版社が発行していた。