館蔵資料の紹介 2019年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2019年 > 中沢道二筆蹟「仁義禮智信」
紙本墨書 掛幅装 縦93.0×横27.4㎝
1801(寛政13)年
中沢道二(1725〜1803)は名を義道といい、江戸時代中期の石門心学の指導者の1人で、京都西陣の織物業の家に生まれた。亀屋久兵衛と称し家業に従事した後、41歳で家督を譲り、以後仏教を学び、さらに45歳頃に手島堵庵(1718〜1786)に入門し、心学を学ぶ第2の人生に入った。1779(安永8)年、髪を剃り道二と号すると、同年、堵庵の指示で江戸に下る。参前舎という講舎を開設し、そこを拠点に、東国での心学普及に努めた。道二は、わかりやすい言葉と身近なたとえで人々を導き、その道話は人気が高く、大名から無頼の者まで聴講したといわれる。
写真の書には、大きく一行で「仁義礼智信」とある。これは五常といわれ、『論語』をはじめ儒教で説かれる、人間関係の中で具えるべき5つの徳目である。多様な解釈がされるが、人を思いやる、悪いことをしない、へりくだって人に譲る、善悪を判断できる、誠実に約束を守る、という意味になろう。
77歳と書き添えられており、道二の晩年、1801(寛政13)年の書と考えられる。