館蔵資料の紹介 2018年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2018年 > 動物図 サンセウウヲ
服部雪齋 冩真 文部省博物局 発行
和紙 木版色刷 縦25.1×横36.5㎝ 1872(明治5)年
1872(明治5)年に湯島聖堂を会場として、文部省主催の博覧会が開かれた。日本の近代博物館史の出発点といえる博覧会である。この博覧会では、絵画工芸品のほか、陸・空・海の生き物の剥製標本や鉢植植物、そして数種の生きた動物も飼育展示された。その中の1つにオオサンショウウオがいた。
動物図は、文部省博物局が動物学の知識普及のため、博覧会で展示した動物などから題材を選び、発行したものである。本図の題は「サンセウウヲ」であるが、図示解説されているのはオオサンショウウオである。
オオサンショウウオは岐阜県以西に生息する大型両生類で、最大で1・5m程になる。生きた化石の動物で、ヨーロッパには、シーボルトが持ち帰り、知られるようになった。本図のものは、奈良県吉野産で体長58㎝、重さ1、069gの個体である。
現在は、国の特別天然記念物のため到底許されないが、かつて山間地では食用にしたこともあった。本図でも、臭みのある皮は火であぶると剥がれ、肉は白く美味と説明されている。