館蔵資料の紹介 2018年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2018年 > 教草 藍一覽
安岡百樹 録 狩野良信 画
和紙 木版色刷 縦37.4×横50.2㎝ 1872(明治5)年
教草(おしえぐさ)とは、1872〜76(明治5〜9)年に、現在の東京国立博物館の前身が制作・発行した、児童向け教材である。主に工芸作物や家畜昆虫の産品をとりあげ、種蒔き・植付けから育成方法、収穫、加工工程、製品化までを解説する。半紙2枚大の紙面に多色摺りで、解説文と作物や工程を示す図を半々に掲載している。作物などの基本的な生産加工技術の普及を目指した、殖産興業のための教材といえる。34種刊行され、当館ではそのうち32種を所蔵する。
教草の企画者は、政府で博覧会の事務を担当していた植物学者の田中芳男(たなかよしお)(1838〜1916)で、1873年のウィーン万国博覧会出品のため、全国から提出させた産品と、その製作法の図解を元に教草を刊行した。
写真の「藍一覽(あいいちらん)」は、34種のうち最初に刊行された教草である。染料である藍の一大産地、阿波(徳島)の例を解説し、最上段には解説文に対応して、種蒔きから製品包装までの各場面を連続して描き、2段目には品種や害虫、出荷時の姿などを図示している。