玉川大学教育博物館 館蔵資料の紹介(デジタルアーカイブ)

教育博物館では、近世・近代の日本教育史関係資料を主体とし、広く芸術資料、民俗資料、考古資料、シュヴァイツァー関係資料、玉川学園史及び創立者小原國芳関係資料などを収蔵しております。3万点以上におよぶ資料の中から、月刊誌「全人」にてご紹介した記事を掲載しています。
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館蔵資料の紹介 2018年

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新撰 理科讀本 第一

新撰 理科讀本 第一

Richard Balchin(著) 武田安之助(訳補)
縦22.4×横14.8㎝ 東京 金港堂 1888(明治21)年

小学校に「理科」という教科が登場したのは1886(明治19)年のことだ。この年に「小学校ノ学科及其程度」が定められ、従来の物理、化学、博物、生理の教科が統合されて「理科」になった。

今回紹介する資料は「理科」が誕生して間もない1888(明治21)年に出版された理科教科書、『新撰 理科讀本』(全八巻)の第一巻。4月号で紹介した『具氏博物学』同様に、翻訳教科書のひとつである。原典はRichard BalchinのHughes’s Science Readers(London: Joseph Hughes 1883)であろう。ただし、冒頭の例言では、訳者が原典を改正削除して、日本の小学校教科書に適するようにしたとの記述がある。

本書は読者が日常で見聞きする事物から学びをはじめ、次第に物理や生物などの専門的な知識を得るように編集されている。第一巻第一章「自然物」の項目では、休日に子どもが近くの野や公園で見聞きするものからはじまって、動物、植物、鉱物の分類を理解できる構成になっている。

「全人」2018年7・8月号(No.829)より

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