館蔵資料の紹介 2018年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2018年 > 掛図 第二博物圖
小野職愨(撰)・久保弘道(校)・長谷川竹葉(画) 文部省
銅版墨摺・木版色摺 縦79.0×横57.0㎝ 1873(明治6)年
明治維新以後、全国に小学校が設立され、学齢児童の就学が励行されるようになった。文部省は学校教育の始まりにあたり、欧米の学校教育を参考に、新しい教材・教具を採り入れていった。その代表的なものが掛図(かけず)で、一斉授業に用いる視覚教材として普及した。
この掛図は、米国の初等教育用の掛図をもとに考案されたもので、植物関係5図、動物関係5図、計10図のうちのひとつである。画面の構成は、上段がウメ、ナシ、モモ、ザボンなどの果実、下段はキュウリ、ユウガオ、カボチャ、スイカなどのウリ科の植物になっている。
10図の刊行は1873(明治6)年から1878(明治11)年にかけての6年間で、植物は小野職愨(もとよし)、動物は田中芳男といった著名な博物学者が制作にたずさわった。絵は長谷川竹葉、服部雪斎、加藤竹斎などの博物画を得意とする画家が担当している。これらの掛図は、「博物」という科目で使われ、子どもたちにとって自然科学の学習入門となる教材であった。