館蔵資料の紹介 2018年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2018年 > 具氏博物学(一)
S・G・グードリッチ著 須川賢久訳 田中芳男校閲
縦21.9×横14.8㎝ 文部省 1876(明治9)年
明治初期の日本では、今日のような教科書はまだ存在せず、欧米で刊行された書籍を翻訳あるいは翻案して教科書としていた。今回、紹介する『具氏博物学』はこうした明治初期に使われた翻訳教科書の一つである。
博物学とは動物、植物、鉱物、地質学などの天然物を研究する学問のことで、英語ではNatural Historyという。
『具氏博物学』は博物学の説明を中心に、宇宙や物理に関する記述もある。ちなみに具氏とはグードリッチ(Samuel Griswold Goodrich :1793〜1860)を指す。グードリッチはアメリカ人で、出版業に携わり、自らも著述を行った。『具氏博物学』の原著、A Pictorial Natural History も彼の著作である。
『具氏博物学』は全10巻からなる。写真のページは第1巻、動物化石に関する説明部分である。骨格図を用いながら首長竜や翼竜の解説がなされており、イクチオソリース(イクチオサウルス)やブレシオサアリース(プレシオサウルス)など、今日でもポピュラーな恐竜の名前がみられ、興味深い。