館蔵資料の紹介 2018年
玉川大学教育博物館 > 館蔵資料の紹介 > 2018年 > 少女世界新年附録 女學校すごろく
巖谷小波案 岡野 榮・榊原蕉園合作 東京・博文館発行
縦78.5×横54.9㎝ 1909(明治42)年
今回紹介する資料は、明治後期の女学生の学校生活を題材にした双六である。内容は、右下の入学を「ふりだし」に、帰省、運動会、寄宿舎、同級会、学芸会、自修、当番、学友、記念会、遠足、雪の日、試験前など、12の絵をたどり、最後は上部中央の卒業式で「上り」になる。
明治時代、私立の女学校や官立の女学校、そして1899(明治32)年の高等女学校令によって高等女学校が設置されると、そこで学ぶ12歳から17歳の少女は女学生と呼ばれた。
最初の頃女学生は、椅子に座ることや体育の授業などで裾が乱れることから、男袴を着用していたが、明治30年代頃から筒状で動きやすい女袴が考案された。同時に前髪を庇(ひさし)のようにふくらませた庇髪と呼ばれる髪型をはじめ、頭に着けるリボン、さらに革靴も流行していった。
この双六は『少女世界』という雑誌の新年号の附録で、当時の女学生の様子が丁寧に描かれている貴重な資料である。今卒業式の服装として人気がある袴姿は、この時代の女学生のスタイルがモデルになっている。